府内城跡の土塀、復旧工事進む 大分市教委が19日に見学会、構造や修理方法を解説【大分県】

豪雨などの影響で崩れた西側土塀=7日、大分市荷揚町
土の色や積み方から修理した年代の違いが分かる土塀

 【大分】昨年7月の豪雨などで土塀の一部が崩れた大分市荷揚町の府内城跡(県指定史跡)の復旧工事が進んでいる。工事の過程で塀全体のしっくいを取り除いたため現在、土の塊などを積み上げた内部構造が見える状態になっており、市教委は19日午前10時から見学会を開き、土塀の造りや修理方法を解説する。

 府内城跡の西側土塀(幅約62メートル、高さ約1.8メートル)は、2016年の熊本・大分地震で塀全体が城郭内側に傾いたことから木製の支柱を作って応急対応。昨年6月30日~7月5日の豪雨では幅約6メートルにわたって崩れ、大きな被害が出ていた。

 市は倒壊の恐れがあるとして昨年10月末に塀全体を支える足場を設置。同11月に国の災害認定を受け、今年3月から復旧工事を始めた。市教委の専門職員が塀の内部を調べたところ、ほぼ全体にひびが入っていた。復旧工事は来年3月までの予定で、総事業費は約1億3千万円。国の災害復旧費などを充てる。

 工事に伴って、土塀の造り方も新たに判明した。市教委によると、土をセメントのように使って土の塊を積み上げる構造が大部分を占め、強度を高めたとみられる。年代によって積み方も変化しており、「同じような積み方は全国の城でも確認されておらず、貴重ではないか」(文化財課)と分析する。

 土の中には江戸時代以前の土器なども含まれており、「故意ではなく、周辺で調達した土に混ざっていたものではないか」という。同課の塩地潤一参事(55)は「復旧工事が進めば、内側は見えなくなる。この機会に多くの市民に足を運んでほしい」と話す。

 見学会は正午まで。市教委の職員が土塀の現状や今後の修理方法などを解説する。申し込み不要。小雨決行。問い合わせは市教委文化財課(097.578.7546)まで。

© 有限会社大分合同新聞社