神戸市東灘区の市街地を流れる住吉川で、体長10センチにも満たない稚アユが力強く川をさかのぼる姿が見られる。
六甲山の最高峰付近を源流とする住吉川。両岸は遊歩道として整備され、日中は散歩やランニングする市民の姿が途切れない都市部の河川だ。一方、地元の自然保護団体や県土木事務所が、魚道の設置などを進めるにつれ、近年、生息数がぐっと増えてきた。
稚アユは体の何倍もの高さがあるせきを越えていく。夏にかけて生息域を広げながら藻類を食べて過ごし、水温が下がる秋に下流で産卵。ふ化した稚魚は海へ下ってプランクトンを食べ、少し体が大きくなる春になればやがて、川に戻ってくる。(長嶺麻子)