友人やいぬ友、身近な人が愛犬を亡くしたらどう支えますか?

いぬ友達や身近な人が愛犬を亡くしたら……「どう接したらいいのだろう」「かけてはいけない言葉はあるのかな」と思いを巡らせる方もいるかもしれません。愛犬を亡くした人が何をしてもらい、どんな言葉をかけられてうれしかったのか〝寄り添い方〞について、獣医師で動物病院専任カウンセラーの宮下ひろこ先生に聞きました。

犬の飼い主同士だからこそ「悲しんでいいんだよ」と伝えてあげてほしい

「飼い主さんにとっては〝姿かたちはなくなってもそばにいる感覚〞だと思います」

大切な愛犬を亡くす経験や、それに伴う深い悲しみに包まれることを〝ペットロス〞といいます。愛犬とのお別れは、犬といっしょに暮らす誰もがいつかは経験すること。ですが、いざその死に直面したら、頭では亡くなったのだという事実を理解していても、愛犬との時間を過去として受け入れられないのは当然です。もしも、身近に愛犬を亡くして悲しんでいる人がいたら、〝姿かたちとしての存在はないけれど、愛犬はまだそばにいる〞という感覚を理解して接してあげることが大切だと思います。

イラスト/須山奈津希

ペットロスは自然な心と体の反応ですが、その受け止め方には個人差もあります。カウンセリングをしていると、心配をかけまいと無理して気丈に振る舞ったり、「いつまで泣いているの」という言葉に傷ついた経験をもつ方も多くいらっしゃいます。飼い主さん同士ならば、犬という存在がどれだけ幸せを与えてくれたか、その絆が深いものだったかわかるはず。だからこそ「涙が出るのは当然だよ」「悲しんでいいんだよ」と伝えてあげてほしいと思います。

大きな悲しみに包まれた飼い主さんの気持ちに寄り添い、そっとそばにいてあげることが遺された人の大きな支えになります。

宮下先生のメッセージが、いつか来る「その日」のことを少しだけ理解するきっかけになりますように。

お話を伺った先生/獣医師。動物病院専任カウンセラー 宮下ひろこ先生
参考/「いぬのきもち」2024年2月号『もしも、愛犬を亡くした人が近くにいたら……』
イラスト/須山奈津希
文/ヨシノキヨミ

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