野党、候補擁立の動き鈍く 知事任期満了まで7カ月 立民へ追い風も、県連内に温度差

過去5回の知事選の結果

 今秋にも予定される栃木県知事選に向け、立憲民主党県連や共産党県委員会はそれぞれ独自候補の擁立を目指している。現職の福田富一(ふくだとみかず)知事が去就を明らかにしない中、野党にとっては攻勢の好機に見えるものの、目立った動きは出ていない。4月の衆院3補選では「保守王国」の島根1区も制して全勝した立民。県連も追い風を実感するが、国政との違いを冷静に受け止め、及び腰の関係者もいる。知事の任期満了は12月8日で、既に7カ月を切った。

 「人に寄り添った県政を実現するのが党の責任」。4月下旬、宇都宮市内の立民県連事務所。小池篤史(こいけあつし)幹事長は8月末をめどに、独自候補を擁立する方針を記者団に明らかにした。

 福田県政に対し「5期20年の緩みが出ている」と厳しい目を向ける。現職の支持基盤でもある自民党は「政治とカネ」を巡る問題で逆風にさらされており、立民県連幹部は「知事選でもチャンスがある」とみる。

 ただ福田知事が出馬した過去の知事選では「不戦敗」が続いた。県連関係者からは「参院選と違い、同じ全県エリアの選挙でも党本部の支援がない知事選は厳しい」という本音が漏れる。候補者探しは「他人任せの幹部もいる」(県連関係者)のが実情。県連内に温度差があるといい、擁立のハードルは高いとみる向きもある。

 大敗したものの、過去に公認候補を擁立した共産。小林年治(こばやしとしはる)県委員長は「今回も候補者を立てるのは当然」と断言する。ただ県政の課題分析や、協力団体への働きかけは、これから本格化させるという。

 「野党共闘」は今回の知事選でも焦点の一つになるとみられる。立民県連は擁立を断念した場合、連携を視野に入れる。しかし支持団体の連合栃木内に共産への拒否感があり「声をかけるとしたら国民民主党」(県連幹部)。共産は「出発点は政策の一致」(小林委員長)としており、過去の知事選と同様、実現への壁は高そうだ。

 一方、日本維新の会県総支部の柏倉祐司(かしわくらゆうじ)幹事長は「適材がいれば擁立したいが、具体的には動いていない」と話す。国民県連の駒場昭夫(こまばあきお)代表は「現時点で立てる考えはない」と述べた。

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