新NISAの「成長投資枠」どうする?〈積極派・安定派・分散派〉それぞれにお勧めの投資信託の「具体的な銘柄」…FPが助言

新NISAの成長投資枠は、上場株式やREITをはじめ、アクティブ型の投資信託など幅広いラインナップがあります。どのような商品を選択するべきか、自分の考え方や方針に会ったものを探してみましょう。本連載は、経済ジャーナリストでありFP資格を持つ酒井富士子氏の著書『マンガと図解でよくわかる新NISA&iDeCo&ふるさと納税[増補改訂2版]』(インプレス)より一部を抜粋・再編集したものです。

成長投資枠はどう選べばいい?…おすすめの「3つの方法」

◆幅広い商品が選べる成長投資枠

つみたて投資枠の対象商品は金融庁が厳選した投資信託のみ。一方で、成長投資枠は上場株式やREIT、つみたて投資枠では買えないアクティブ型の投資信託など幅広い商品が対象です。さまざまな方法で投資できますが、初心者にとっては逆にどの商品を選べばいいか迷ってしまうところでしょう。ここでは、成長投資枠の利用例を3つ見ていきます。

1つ目はつみたて投資枠と同じ投資信託を積み立てるケース。「成長投資枠=難易度の高い投資」とイメージする人が多いようですが、つみたて投資枠対象の投資信託を成長投資枠でも購入することができます。つみたて投資枠の上限は年間120万円なので、月に10万円以上の積立をしたい人は上限を超えてしまいます。その場合、成長投資枠を利用して毎月足りない金額分を買い足すことができます。

2つ目はつみたて投資枠では購入できない投資信託を購入するケース。成長投資枠ではインデックスを上回る投資成果を目指すアクティブ型や、特定の国や業種に投資する専門性の高い投資信託も購入することが可能です。つみたて投資枠では手堅い運用、成長投資枠では高リターンを狙った攻めの運用というように、それぞれの枠で異なる投資信託を購入するのも1つの投資スタイルです。

3つ目は個別株を購入するケースです。成長投資枠の上限である年間240万円の範囲内で、日本や米国の企業の上場株式を購入することができます。

◆成長投資枠はどんな使い方がある?

[図表1]成長投資枠はどんな使い方がある?

【酒井FPの助言】

「成長投資枠は年間240万円、生涯投資枠1200万円です。つまり、つみたて投資枠を利用して投信積立をしなければ、両者を併せた非課税保有限度額の1800万円の枠を埋めることはできないということです」

成長投資枠で投資信託は何を選ぶ?

◆アクティブ型の投資信託が充実

成長投資枠で積立もしくは一括購入できる投資信託(投信)は、つみたて投資枠の対象商品を除くと約1700本。つみたて投資枠では株式型のインデックス投信がメインで、それに加えてローリスクのバランス型投信が対象商品となっています。

一方成長投資枠では、幅広いタイプの投信が選ばれており、株式型でいえばインデックスを超える投資成果を目指すアクティブ型投信が充実しています。図表2の「野村世界業種別投資シリーズ」「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信D」「大和住銀DC国内株式ファンド」はこのアクティブ型投信にあたり、各運用会社が綿密なリサーチをもとに、成長すると判断した企業の株式に投資しています。リサーチや運用にコストがかかるため信託報酬が1%超と高めですが、いずれも高いリターンを記録しています。

成長投資枠は「積極的な投資」というイメージがありますが、実は債券型の投信を選べる点もメリットです。債券型は、株式よりも値動きが安定している債券に投資するため、複数の資産を組み合わせたバランス型よりもローリスクな運用が期待できます。「東京海上セレクション」は日本の物価連動国債に、「フィデリティ・USハイ・イールド・ファンド」は米ドル建ての社債に投資している商品です。

さらに、不動産や金などに投資する投信もあります。株式や債券以外の商品に投資し、資産を分散させることでリスクを抑えたい人向けの投信です。

◆成長投資枠で選びたいオススメ投資信託の例

[図表2]成長投資枠で選びたいオススメ投資信託の例 ※2024年2月上旬時点

酒井 富士子
経済ジャーナリスト、FP

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