1989年、R31スカイラインGTS-Rが4勝を挙げチャンピオンに【グループAレースクロニクル1985-1993 JTC9年間の軌跡(6)】

ツーリングカーレースが日本で一番熱かった9年間を1冊にまとめた「グループAレースクロニクル1985-1993 JTC9年間の軌跡(モーターマガジン社/2970円)」が好評発売中。ここでは、そこからの抜粋をお届けする。

R31スカイラインGTS-Rの熟成で勢力図に変化

1989シーズンはスカイラインGTS-Rが熟成された年で、シエラRS500の対決構造があらわになる。開幕戦は3月19日に西日本サーキットで行われた「オールジャパンツーリングカー300kmレース」。ポールポジションはカルソニックスカイライン(星野一義/北野元)、2番手にダンロップシミズシエラ(長坂尚樹/M.サンドロ・サーラ)。

開幕戦を制したのはDUNLOPシミズ シエラ(長坂尚樹/A.サンドロ・サーラ)。長坂は88年第3戦以来の優勝となった。

決勝は終盤でカルソニックがエンジントラブルでリタイアし、ダンロップシミズシエラが逆転優勝。2位にはスープラのエボリューションモデル、ターボAのバイオスープラターボ(小河等/関谷正徳)が入賞した。

5月21日に第2戦「ハイランドグループA300kmレース」が開催。ここではカルソニックスカイライン(星野/北野)がポールポジション。ダンロップシミズ シエラ(長坂)は2番手。決勝ではカルソニックスカイラインが快走し、そのまま逃げ切りスカイラインとしては1年ぶりの優勝。2位にもリーボックスカイライン(長谷見昌弘/A.オロフソン)が予選4位から追い上げて入賞。スカイラインの本領発揮の時代到来となった。

総合優勝はカルソニック スカイライン(星野一義/北野元)。R31スカイラインGTS-Rの初優勝は日産の顔とも言える二人の手で果たした。

続く第3戦は8月20日に筑波サーキットで「89レース・ド・ニッポン」が開催される。ここでもポールポジションはカルソニックスカイライン(星野/北野)、2番手もリーボックスカイライン(長谷見/オロフソン)となる。決勝ではリーボックスカイラインが順調に走りシーズン初優勝。スカイラインの2連勝となった。2位には予選4位からしぶとく走ったトランピオシエラ(横島久/影山正彦)が入賞した。

スカイラインの快進撃に因縁のインターTECも盛り上がる

第4戦となる「SUGOグループA300km選手権レース」は9月10日に開催。ここでもスカイラインが速く、ポールポジションはリーボックスカイライン(長谷見/オロフソン)、それに続いたのがカルソニックスカイライン(星野/北野)だ。

2連勝となったリーボックスカイライン(長谷見/オロフソン)。チェッカーとともに大きく右手を上げるのは長谷見だ。

決勝でもカルソニックスカイラインがリードするが、終盤エンジントラブルでリタイア。代わってリーボックスカイラインが勝ち、連勝となった。ただ、2位、3位にはシエラ勢が入り、国産勢との熾烈な競り合いが続く。

第5戦の「鈴鹿グレート20ドライバーズレース」は9月23日に開催。ここでは勢いにのるリーボックスカイライン(長谷見/オロフソン)が連続ポールポジション。2番手にダンロップシミズシエラ(長坂)でフロントローを占める。決勝ではリーボックスカイラインが強く、予選4位から追い上げたピューミニトランピオシエラ(清水和夫/松田秀士)を寄せ付けずに優勝。3位にはヂーゼル機器スカイライン(都平健二/木下隆之)が入り、スカイライン強しを印象付けた。

5度目のインターTEC。国産車勢の夢を打ち砕いたのはフォードコスワース シエラRS500 TURBO(K.ニーツビーツ/A.モファット)。

最終戦は11月12日に富士スピードウェイで開催された「インターTEC」だ。これまでの余勢を駆って、スカラインの初制覇が期待された。予選でもポールポジションはカルソニックスカイライン(星野/北野)となり、ますます現実味を帯びる。しかし、セミ耐久のレギュラー戦とことなり、インターTECは500kmの長丁場。ここでスカイライン勢は脱落が相次ぎ、フォードコスワース シエラRS500ターボ(K.ニーツビーツ/A.モファット)が優勝。バイヨスープラターボ(関谷/小河)が2位に入った。

© 株式会社モーターマガジン社