開業後初の大規模改修 新館“プレミア化”9月開業 ホテルスプリングス幕張

改修工事中のホテルスプリングス幕張新館=千葉市美浜区

 千葉市美浜区の幕張新都心に立地する「ホテルスプリングス幕張」は、新館(57室)を一時閉鎖して大型リノベーションを始めた。客室を95室に拡充するとともに、千葉県産食材を使ったおにぎりを売りにした「エグゼクティブラウンジ」を新設するなど、訪日客を主なターゲットに高級路線を打ち出す。新館の名称も「ホテルスプリングス幕張プレミア」に変更。再オープンは9月1日を予定している。

 ホテルスプリングス幕張は1990年に開業。幕張新都心に最も早く進出したホテルとされ、幕張メッセ来場者の宿泊需要に応えたほか、結婚式や宴会の会場として利用されてきた。しかし、競合ホテルが増えた上、新型コロナ禍で利用客が激減した。アフターコロナで再び競争が激しくなる中、本館(203室)と新館を差別化。本館で従来の宿泊需要に対応しつつ、新館を“プレミア化”することで滞在自体を楽しむ訪日客ら新たな客層の取り込みを図ることとした。

 同ホテルによると、新館の客室フロアだった6~8階の全室を高級感のある内装にリニューアル。レストランや宴会場などだった2、4、5階も客室にリノベする。高級ベッドを採用し、最大で約90平方メートルなど広さや内装が異なる12タイプの客室を用意。約90平方メートルの客室は同ホテルで最も広かった客室の約2倍に相当する。長期滞在するインバウンドを想定し、キッチンも設けた。

 1階に新設する「エグゼクティブラウンジ」は客の面前でシェフがおにぎりを握る。県産米「粒すけ」や東京湾で採れる江戸前ノリのほか、県産海産物などを具に使うなど“千葉色”を前面に押し出す。

 同ホテルは新型コロナ禍中に館内を人気アイドルらのミュージックビデオの撮影場所に貸し出したところ、ファンへの知名度が向上。ビデオに登場するレストランなどに女性客が足を運ぶようになり、客層が拡大。新館のプレミア化と合わせて、他のホテルとの差別化も進める。

 金田幸二総支配人は「チェーンではない単独のホテルは、いかに有名になるかが課題。新たなサービスを注入し、結果的に5つ星に負けないホテルにしていきたい」と述べた。

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