料金が変動する「ダイナミックプライシング」生活にも拡大中 高速道路やコインランドリーも お得に使うには?

需要に応じ価格を細かく柔軟に変動させる仕組み、「ダイナミックプライシング」(=価格変動制)の導入が進んでいます。

【写真】料金変動ダイナミックプライシング拡大 解説画像を見る

2024年5月6日の午後11時50分、めざまし8スタッフが東京料金所付近を取材すると、料金所手前にトラックが2台ほど止まっています。さらに8分後。

取材スタッフ:
また1台トラックが東京料金所の手前で止まりました。渋滞しているわけではないのですが、多くの車がゆっくりと走行しています。

料金所の前を先頭に車列ができていました。そして、午前0時と同時に車が一斉に動きだします。

料金所を通過する車の台数を午前0時の前後で比べてみると、4倍ほど増えていました。
一部の高速道路では、午前0時~午前4時の間に利用すると料金が3割引になる制度が実施されています。そのため、午前0時を待つ車が料金所の前で待機する現象が起きていたのです。

「ロードプライシング」で高速道路の渋滞緩和へ

政府としては、時間帯に応じて高速道路の料金を変動させる「ロードプライシング」を2025年以降、全国へ拡大する方針。混雑時間帯での自動車利用に特別な料金を課すことで、交通量を削減して渋滞緩和につなげる狙いです。

実はいま高速道路以外にも、例えば、航空券、ホテル料金、スポーツイベント、音楽ライブ、テーマパークなど、様々な業界で価格が変動する制度が取り入れられています。
そんな身近な価格変動制度をお得に使っていくコツを、製品やサービスの価格を決めるプライシングのプロフェッショナル、高橋嘉尋さんに解説していただきました。

「ロードプライシング」は、千葉県木更津市と川崎市を結ぶ、渋滞がよく起きる東京湾アクアラインでもいま実証実験が行われています。

実証実験は2023年7月から2025年3月まで(予定)。土日祝日のETC車の通行料金を時間帯別にする形で、木更津JCTから川崎浮島JCTまで、普通車・通常800円のところ、午前0時~午後1時までは通常の800円。午後1時から午後8時までは1200円、午後8時から午前0時は600円に設定しています。

高橋嘉尋氏:
価格を上げた分だけ交通量が変わってくるかなと思うので、どれくらいの混雑度でコントロールしたいのかというのを考えながら上げていくといいんじゃないかなと思います。

2024年5月現在も継続中のこの実証実験ですが、1月に発表した中間報告によると、木更津JCTから川崎浮島JCTまでの43km、通常時は約17分で通過できるのですが、実験前の土曜日は最大52分かかっており、実験中の土曜日は最大41分と約31%短縮されました。さらに、実験前の日曜日は最大64分かかっていたところを実験中の日曜日は最大54分とこちらも約21%短縮されました。
交通量自体は増加傾向にある中で、料金を変えることで渋滞が少し緩和される効果が出ていることがわかります。

コインランドリーでもリアルタイムで価格が変動

コインランドリーでもダイナミックプライシングを導入しているものがあります。

コインランドリー「wash+」では季節・天気・時間・立地などをAIが分析して、リアルタイムで価格が変動し、前日に確定します。
例えば、千葉・浦安市 明海店の場合(Sサイズの洗濯・乾燥料金)は、最高料金は需要予測が最も高い日の午前9時~午後8時の1400円。最低料金は需要予測が最も低い日の午前0時~午前6時の800円となっています。

こういった価格変動制「ダイナミックプライシング」について、街の人はどう感じているのでしょうか?

20代女性:
ちょっと休憩したい2時とか3時くらいに飲食とか安かったらいいな。ランチの時間混むからむしろいいと思います。

20代男性:
1年間一律で価格帯を変えない方がいいかなと僕は思ってます。消費者側からするとやっぱりその時間にこそ行きたいので、高くされるのはちょっと困る。

70代男性:

お店の方の都合であって社会全体に対してメリットになるような話じゃないので、個人的にちょっと納得しにくいかなって感じ。

スポーツイベントでは時間帯以外もチケットの価格に影響

さらに時間帯以外でもダイナミックプライシングを導入しているものもあります。

スポーツイベントでは、イメージでいうと、元々4000円で売られていたチケット(試合15日前)が試合10日前、チームが連勝すると4500円に値上がり。試合5日前、人気選手が負傷離脱したら、4300円に。そして試合当日、悪天候だった場合は3500円に値下がり…と、チームの試合結果や選手の状態、天候なども価格に影響します。

では、損しないためにはどうすればいいのでしょうか?

高橋嘉尋氏:
売り始め・売り終わりは避けるべきです。ほとんどの場合、需要と供給が合わず、最初と最後が一番値段が高い。
これまで以上にリサーチが大切になります。ダイナミックプライシングがさらに普及すれば、あらゆるものの料金体系が複雑化し、リサーチしない人は不利益を被る時代になってきます。

通販サイトや旅行予約サイトを利用する際の注意点

ダイナミックプライシングが広がりを見せる中、高橋さんによると通販サイトや旅行予約サイトを利用する際に注意したいポイントがあるといいます。

高橋嘉尋氏:
特に外資のサービスに多いんですけれども、これまでの購入履歴とか検索履歴を基に、例えば高い物を買ったときはこの人は支払い能力があるとか、サイトに興味があるとかを判断して値段が上がるケースも聞いたりはするので、検索履歴、Cookieのキャッシュを削除しておくとか、高い物を買ったら別のアカウント、端末で購入するというのをすると、実は安く買えたりするので。
企業側も意図して高くしようとしているわけじゃないケースもあって、この人はこのくらいの価格帯のものが好きだというふうに認識して高く出しているケースもあったりするので、いわゆる過去の行動とかを気にしながらやっていくとうまく買い物できたりとかはあると思います。

(『めざまし8』 2024年5月8日放送より)

© 株式会社フジテレビジョン