デビュー目前の超有望株スキーンズ 空軍士官候補、”三刀流”だった過去

日本時間5月12日、「球界ナンバーワン投手プロスペクト」であるポール・スキーンズ(パイレーツ)がカブス戦でメジャーデビューを飾る。正真正銘「10年に1人の逸材」であるスキーンズのデビューは、既に球界における最大の関心事になりつつある。強豪ルイジアナ州立大のエースとしてカレッジ・ワールドシリーズを制覇し、2023年ドラフトでは全体1位指名を受けてプロ入り、そしてメジャーデビューとこの1年間の内にあまりに多くを成し遂げたスキーンズ。しかし、その道は決してまっすぐではなく、多くの紆余曲折を経ている。スキーンズは空軍兵になっていたかもしれないし、捕手としてプロ入りしていた可能性もあった。『MLB.com』のパイレーツ番記者アレックス・スタンプが特集している。

大学3年時にルイジアナ州立大に転校するまで、スキーンズは空軍士官学校に通っていた。スキーンズは士官学校でも優秀な生徒であり、1年生の頃は将来は軍隊に入るものだと本気で思っていた。スキーンズが士官学校でどのような生徒だったのかを示すエピソードがある。士官学校では16時45分に国歌が演奏され、全員その際は直立不動の姿勢を取らなければならない。中東で11人の海兵隊員が亡くなったその日、スキーンズは直立不動の姿勢を取らなかった2人の生徒を見つけると、国歌演奏後に駆け寄って叱責したという。士官学校時代のコーチは「彼は徹底したリーダーだ。もし士官学校に残っていたなら、この国にとって偉大なリーダーとなっていただろう」とスキーンズの人柄を評している。

野球の方では、士官学校時代のスキーンズは”三刀流”として鳴らした。捕手として、打者としての才能も秘め、「6・7回は捕手として守り、2本の本塁打を放ち、残りの2・3回は投手としてクロージングする」ような試合もあったという。日頃は空軍に入るための訓練で体を酷使し、アスリートとしては理想的な環境にいないにも関わらず、スキーンズはこの活躍を見せていた。卓越した野球の才能を見せていたスキーンズは「人生で最も難しい決断だった」と語る、空軍士官学校からの転校を決意。さらに「捕手に残っていても1巡指名を受けていた」と言われながら、より将来性の高い投手に完全に専念、投手としてルイジアナ州立大にその活躍の場を移した。そして、優秀なコーチ陣が揃うルイジアナ州立大でスキーンズはさらにその能力を飛躍させ、今に至る。

有望株としての期待値や注目度の高さでは、スティーブン・ストラスバーグ(元ナショナルズ)以来とされるスキーンズ。ストラスバーグはデビュー戦で7回14奪三振をマークし、未だに「最高のデビュー戦」として語り継がれる好投を見せた。しかし、ストラスバーグはその後、故障にも祟られてデビュー前の期待値に達することはなかった。かつてのストラスバーグと同様に殿堂入りも期待されるスキーンズは、どのようなキャリアを送るだろうか。日本時間12日のデビュー戦は伝説の始まりとなる可能性を秘めている。

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