ザンダー・シャウフェレ 4kg増量で飛距離UP「デブになりました(笑)」

練習ラウンド中。かなりパンプアップ(撮影/服部謙二郎)

◇米国男子◇ウェルズファーゴ選手権 初日(8日)◇クエイルホロークラブ(ノースカロライナ州)◇7558yd(パー71)

ザンダー・シャウフェレが初日7アンダーの単独首位で発進した。昨年はウィンダム・クラークと一騎打ちの優勝争いの末、惜敗した苦い思い出のある大会。クラークと同組で回ったこの日は、1イーグル6バーディを奪うなど会心のゴルフを見せた。

ハーフターン時点で4アンダー暫定トップ(撮影/服部謙二郎)

今週に入って、そのシャウフェレを見ていて気になることがあった。何か異様に体が“デカい”のだ。まるでラガーマンのように、肩回りも腰回りも以前よりひと回りほど大きく、横に厚みが出ている。不摂生で増量した感じではなく、明らかにパンプアップして筋肉がついたデカさ。球を打っている姿を見ても、どこか振りが鋭く、インパクトも破壊的な音をさせていた。

あまりにも気になったので、練習日にシャウフェレを直撃してみると…「デブでしょ?(笑)」と言って自身の体をさすった。「半年前からウエートリフティングを中心にいろんなトレーニングをやってきたんだ。主に上半身を鍛えているかな。今までにないぐらいハードにやっているよ」と解説。なぜ筋肉の増強が必要だったのか。「もちろんもっと遠くに飛ばしたいのはあるよ。でも、もう一つの目的は体のケア。痛めている腰に負担がかからないように筋肉をつけているんだ」

筋肉のねじれを感じるトップオブスイング(撮影/服部謙二郎)

シャウフェレも今年で30歳。長年ツアーで戦っている中で“勤続疲労”もたまり、体のケアを意識する年齢になってきたわけだ。「3、4kgは増えたかな」と現在は80kg近くまで増量したという。そこまで筋肉が増えたのなら、スイングスピードもだいぶ変わったのではないか。「そうだね。ヘッドスピードもボールスピードもだいぶ上がったよ。ボールスピードは平均で4マイルぐらい上がって、今は182~183マイルぐらい。一番飛んだ時は187マイルぐらい出ていたよ」。飛ばしの一要素であるボールスピード(ボール初速)はいわゆる飛ばしの指標ともなるが、平均183mphや最大187mphという数値は飛ばし屋のロリー・マキロイ(北アイルランド)に匹敵するスピードだ。「飛ぶのももちろんだけど、スイングに安定感も出てきたんだ。体を鍛えたことで再現性も良くなってきているかな」。この日のドライビングディスタンスは平均317.8yd。フィールド13位の数字をマークした。

スイングが安定したのは、筋トレだけの成果ではなかった。シャウフェレは昨年11月からクリス・コモ氏(タイガー・ウッズの元コーチ)をコーチにつけ、スイング改造を行ってきた。「ずっと父と一緒にスイングを作ってきたけど、違う意見も欲しくてクリスにお願いしたんだ」と、キャリアで初めて父以外のコーチをつけた理由を話す。「トップの位置がだいぶ変わったかな。レイドオフを減らしてオンプレーンに乗せるように意識してきた。去年もドライバーショットは悪くなかったんだけど、やっぱり外から下りることが多くてね。より再現性を高めたかったんだ。でも父が言ってきたことと、クリスとやっていることは共通点も多くて、切り返しでゆっくり下ろすところなんかも似ているよ」と、スイング改造がスムーズにいっていることを強調した。

15番のティショット。トップの形(撮影/服部謙二郎)

最後に「ビッグチェンジでしょ?」と言って白い歯をこぼしたシャウフェレ。エリートが集う昇格大会でこのまま逃げ切ることができるのか。昨年のリベンジを見届けたい。(ノースカロライナ州シャーロット/服部謙二郎)

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