「挑戦できることが喜びであり、課題」柴咲コウ、フランス語での撮影や黒沢清監督への思いなど『蛇の道』舞台裏を語る

『蛇の道』© 2024 CINÉFRANCE STUDIOS – KADOKAWA CORPORATION – TARANTULA

『岸辺の旅』で「第68回カンヌ国際映画祭」ある視点部門・監督賞を受賞、『スパイの妻』で「第77回ヴェネツィア国際映画祭」銀獅子賞を受賞するなど、世界から高い評価を得る巨匠・黒沢清。最新作にして自身「これまでのキャリアの中で最高傑作ができた」と語るセルフリメイク作品『蛇の道』が、日仏共同製作により、完全版“リベンジ・サスペンス”として誕生。6月14日(金)より日本全国劇場公開となる。

このたび、柴咲コウが、オファーを受けた時の思いや、フランス語での撮影、そして黒沢清監督への思いと、共演者との関係などの舞台裏を語った。

時と国境を越えて辿り着く、完全版“リベンジ・サスペンス”

愛娘を何者かに殺されたアルベール・バシュレは、パリで働く日本人の心療内科医・新島小夜子の協力を得ながら犯人探しに没頭、復讐心を募らせていく。だが、事件に絡む元財団の関係者たちを拉致監禁し、彼らから重要な情報を手に入れたアルベールの前に、やがて思いもよらぬ恐ろしい真実が立ち上がってきて…。

アルベールの復讐に協力する小夜子に扮したのは、柴咲コウ。NHK大河ドラマ『おんな城主 直虎』(17)でタイトルロールを演じ、『君たちはどう生きるか』『ミステリと言う勿れ』(23)などの話題作への出演でも知られる彼女が、フランス語の厳しいレッスンに臨み、現地で実際に生活をして、パリで暮らす謎多きヒロインを完璧に自分のものにしている。復讐に燃えるアルベールを演じたのは、『レ・ミゼラブル』(19)でセザール賞主演男優賞にノミネートされた注目のフランス人俳優、ダミアン・ボナール。また、『ドライブ・マイ・カー』(21)、『首』(23)で世界的に注目を集め、黒沢監督とは5度目のタッグとなる西島秀俊が心を病んだ小夜子の患者・吉村役で、『ゴジラ-1.0』『犯罪都市 NO WAY OUT』(23)など国内外の話題作への出演で勢いに乗る青木崇高が小夜子の夫・宗一郎役で出演。さらに、『ダゲレオタイプの女』(16)に続く黒沢監督作品への出演となるマチュー・アマルリック、『ネネットとボニ』(96)などのグレゴワール・コランらフランスの名優が拉致される財団の幹部に扮し、脇を固める。

アルベールの娘は、誰に、なぜ殺されたのか。事件の思いがけない首謀者とは。国境を越えた<徹底的復讐>の先に待ちうける真実とは——

柴咲コウ「挑戦できることが喜びであり、課題」

娘を殺した犯人を突き止め復讐に燃える男・アルベール(ダミアン・ボナール)と、彼に協力する心療内科医の小夜子(柴咲コウ)。事件には、ある財団が関わっていることを知った2人は<徹底的復讐>を開始する。黒沢清監督が満を持して挑んだセルフリメイク『蛇の道』で、フランスを舞台に堂々と主演を張った柴咲コウが、オファーを受けた時の戸惑い、黒沢監督そして黒沢作品の魅力、フランスでの思い出、そして西島秀俊ら共演者とのエピソードなどを振り返り、素直な気持ちを語った。

「なぜ私にお声がけしてくれたんだろう」今まで演じてきた役とはどれも違う、小夜子という役について、オファーを受けた時の素直な気持ちを振り返った柴咲。1998年に公開された、時代を超えて根強い人気を誇る黒沢清の代表作『蛇の道』を観て、「性別も違うし、シチュエーションも違うし、国も違う」本作が「新しいものになるのかな」と思って臨んだという。

そんな復讐劇である本作のミステリアスな主人公・小夜子というキャラクターについて聞かれると、「垣間見える本心、本性をどう表現したら観客が惹きつけられてくれるのか、そのキャラクターを作っていけるか」というところに魅力と難しさ感じたと語っている。全編フランスで撮映された本作で、ほぼフランス語で演じたことについて「そこに挑戦できることが喜びであり、課題」として、それを合わせて「一つの魅力」だと前向きに語った柴咲は「ただそこにいるということが大切なのかな」とフランスに2ヶ月滞在し、ほとんどセリフの練習に費やしていたというエピソードも披露した。

そして、黒沢作品の魅力について聞かれると「答えのない生き様」が描かれていることだと語る。謙虚で「こういうものを撮りたいんだ」と強くいうタイプではない監督に対して、クランクイン前にいろいろ質問をしてしまったことを明かし、その気負いすぎた行動について「ちょっと浅はかだった」と反省する場面も。毎日の撮影を重ねて信頼を取り戻そうと静かな努力を重ねていたことを告白した。

そのほかインタビューでは、共演したダミアン・ボナールについて、フランス語のセリフの練習を快くつきあってくれたエピソードや、西島秀俊との日本語でのお芝居のバランス、また青木崇高とのシーンを振り返っての思いなど、撮影を振り返りながらひとつひとつ懐かしむように語る柴咲の姿が印象的で必見のインタビューとなっている。

美しいフランスのロケーションに息をのむと同時に、得体のしれない緊張がラストまで続く本作。<徹底的復讐>の最後に待つものは一体何なのか。全編フランスロケで、柴咲コウがフランス語で挑んだ、色褪せることのない、一層鮮やかに色濃く描かれる『蛇の道』をスクリーンで是非見届けてほしい。

『蛇の道』は6月14日(金)より全国公開

© ディスカバリー・ジャパン株式会社