ドラフト指名には“コインではなくマジックエイトボールを使う”と冗談を言うレイダースGMテレスコ

ラスベガス・レイダースのトム・テレスコGM【NFL】

ラスベガス・レイダースがタイトエンド(TE)ブロック・バワーズをドラフト指名したことを記念するコインはないようだ。

4月に実施されたドラフトの全体24位で指名されたデトロイト・ライオンズのコーナーバック(CB)テリオン・アーノルドは、ポッドキャスト『The Next Round(ザ・ネクスト・ラウンド)』に出演した際に、レイダースのドラフト全体13位指名はアーノルドとバワーズの間でのコイントスのようだったとレイダースのヘッドコーチ(HC)アントニオ・ピアースから聞いたと語った。その数日後、レイダースのジェネラルマネジャー(GM)トム・テレスコはこの件について釈明し、そのような行為はなかったと説明している。

『NFL Total Access(NFLトータル・アクセス)』に出演したテレスコGMは現地8日(木)にマイク・ヤムに対して、「通常、私はコインではなく、マジックエイトボールを使うよ」と冗談交じりに話し、こう続けた。

「でも、冗談はさておき、ドラフトの過程の一部として、われわれは本当に2週間ほどかけて、1巡目で何が起こる可能性があり、それにどう対応するのかについて、さまざまなシナリオを検討し議論した。13位指名権を使う場合、考慮すべきシナリオはそう多くはない。したがって、すでにブロック・バワーズが残っているというシナリオは考えており、その場合には彼を選ぶ、と少人数のグループ内で話し合っていた。われわれはそういうプロセスを踏んでいたんだ」

「ドラフト当日は1巡目も2巡目も、何が起こる可能性があるのか、どう対応するのかというシナリオをすでに練っているから、指名する順番が回ってきたときにはもうあまり話し合いはしない。ブロックの時もそうだった」

かつてNFLでコーナーバックとしてプレーした経験を持つ、スポーツ・メディア・パーソナリティのライアン・クラークによると、ピアースHCもアーノルドの話を否定したという。

ピアースHCはクラークに対して「コールもコイントスもなかった」と言い、アーノルドと話したことを否定した上で、「最後の2人のクオーターバック(QB)が指名された後、すぐにバワーズを選ぶと決めていた」とコメント。

マジックエイトボールのおかげであれ、チームの徹底したドラフト準備のおかげであれ、レイダースはテレスコGM就任1年目にして自分たちのプランを明確に把握しており、ドラフトの際に指名の順番が来たときはほとんど議論する必要がなく、コイントスをする必要もまったくなかったのだ

結果として、おもしろい決定過程はなかったものの、レイダースは木曜日に新人契約にサインしたバワーズを獲得している。

ジョージア大学出身のバワーズはジョン・マッキー賞を2回受賞しており、2024年ドラフトクラスのトップタイトエンドとして知られている。大学時代に40試合に出場してレシーブ175回で2,538ヤード、タッチダウンレシーブ26回をマークしたバワーズは、NFLで通用するスキルを身につけた状態でレイダースに加わる。

テレスコGMはこうつけ加えた。

「ブロックを獲得できたのは本当にラッキーだった。われわれはオフェンスを強化したいと思っている。昨年は得点が足りなかった。オフェンシブラインマン(OL)にしろ、スキルプレーヤーにしろ、ボールを動かして得点を増やす手助けをしてくれる選手が必要で、ブロックはその手助けをしてくれると思う」

バワーズは2023年ドラフト2巡目で指名されたTEマイケル・メイヤーと補完関係にある。レイダースのクオーターバックの入れ替わりが激しい中、メイヤーはルーキーシーズンにレシーブ27回で304ヤード、タッチダウン2回を記録するにとどまったものの、才能を開花させた。この2人のタイトエンドに加えて、ワイドレシーバー(WR)のデイバント・アダムスとジャコビ・マイヤースが合わさることで、レイダース攻撃陣は相手ディフェンスに対して恐怖を与える強力な4人組を形成する。このグループにパスを投げるのは、エイダン・オコンネルとフリーエージェント(FA)で加入したガードナー・ミンシューのどちらか、今年のクオーターバックのポジション争いで勝った方になるはずだ。

テレスコGMが言及したように、レイダースはオフェンシブラインを強化するために、オフェンシブガード(OG)ジャック・パワーズ・ジョンソンをドラフト2巡目、オフェンシブタックル(OT)D.J.グレイズを3巡目で指名しており、重要な指名権を投資している。

これらの決断を通して、レイダースはオフェンスの得点でリーグ23位に終わった成績を改善し、ピアースHCが率いるリーグ9位の頑強なディフェンスのレベルに近づけることを目指している。このディフェンスは昨シーズンの途中にジョシュ・マクダニエルズ元HCとデイブ・ジーグラー元GMが解雇された後も、レイダースを8勝9敗という立派な成績を残すのに貢献した。

こうした計画的な動きがすべてうまくいけば、レイダースは単なるコイントス以上の確率で、2年連続のポストシーズン進出なしという状況を打破する見込みがあるかもしれない。

【KO】

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