「暑さに慣れる」ってどういうこと?夏本番に後悔しないため気象予報士が初夏にやっていることとは

初夏に暑い日があるとよく天気予報などで「暑さに体が慣れていない時期なので注意を…」と解説されますよね。でも、そういえば「暑さに慣れる」って、具体的にどういうことなのでしょうか。同じ気温でも暑く感じなくなるということ…?それとも、何か体のしくみに変化が生じるということなのでしょうか??

今回は、気象予報士・防災士・野菜ソムリエとして活躍する植松愛実さんに、本格的な夏を迎えてから後悔しないように今のうちにやっておくべきことを教えてもらいます。

たった0.2℃で…

人間の体には、暑さから身を守るためにさまざまなしくみが存在しています。その代表的なものが、みなさんもよく知っている「汗をかく」という行為です。汗をかいて肌の表面が濡れると、その汗が蒸発して乾く際に肌から熱を奪うので、体を冷やす効果があります。

しかも、私たちが意識的に「汗をかこう!」と思わなくても、暑さによって体温が上がり始めたら自動的に汗が出るしくみになっていて、もし体が暑さに慣れている状態であれば、体温がわずか0.2℃ほど上がった段階で脳から「汗をかきなさい!」と命令が出るようになっているのです。

すごく便利なしくみですよね。でも、「暑さに慣れている状態」って、どういうことでしょうか。

体を守るための「暑熱順化」

「暑さに慣れる」というのは専門的には「暑熱順化(しょねつじゅんか)」と言って、文字のとおり、暑熱=暑い環境に対して順化=順応できるよう体が変化することです。具体的には、たとえ暑い環境にいても効率よく汗をかいて体温を保てるようになったり、体を冷やしやすい血液の流れをつくったりします。

じつは、私たちの体は何もしなくても、毎年夏に向けて体が勝手に「暑熱順化」してくれます。ただ、自然な「暑熱順化」には1~2カ月ほどの時間がかかり、近年のように地球温暖化や都市化によって前倒しで厳しい暑さがやってきてしまうと、間に合わずに熱中症になってしまうのです。

「汗をかく練習」をしよう!

自然な「暑熱順化」にまかせて熱中症になってしまうのを防ぐには、初夏の段階から意識的に「汗をかく練習」をしていくことが有効です。

たとえばウォーキングやサイクリング、あるいは湯船にしっかり浸かる入浴など、「汗をかいたなぁ」という実感が持てるような行動を日常的に取り入れてみましょう。ウォーキングやサイクリングなら1回30分程度で、無理はしない範囲で、もちろん水分補給もしっかりしながらやってみてください。

個人差はありますが、数日から2週間程度で、汗のかきかたがぐんと変わってきます。

■執筆/植松愛実さん
気象予報士と出張料理人の両面で活動中。気象・防災に関するヒントのほか、野菜ソムリエ・食育インストラクターとしておいしい食材のおいしい食べ方を発信中。インスタグラムは@megumi_kitchen_and_atelier。
編集/サンキュ!編集部

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