Mrs. GREEN APPLEのオリジナル音源、カバー動画などで使用可能に

ロックバンド・Mrs. GREEN APPLEが5月9日、オリジナル音源の使用に関しての注意事項を改定した。

オリジナル音源(※)を使用した、カバー動画やダンス動画の制作・公開が可能なように変更されている。

※ここでのオリジナル音源は、「公式YouTubeチャンネルで公開中の音源及びインスト音源」「CD及びおよびデジタル配信等されている音源・インスト音源」を指す。

アーティスト写真やジャケットも使用可能に

併せて、Mrs. GREEN APPLEの公式サイト、ユニバーサルミュージック公式サイト内のアーティストページ、公式YouTubeチャンネルで公開・配信している映像、ジャケット写真、アーティスト写真、ライブ写真を、動画内で表示することも可能になった。

使用に際してはMrs. GREEN APPLEのイメージを傷つけるような編集は不可であるなど、最低限のルールは設けられている。

対象は個人に限り、マネタイズは不可。商業目的の場合は、ユニバーサル ミュージック合同会社への問い合わせが必要となる。

オリジナル音源を使用していいパターンの具体例

① Mrs. GREEN APPLEオリジナル音源に楽器の音、トークやナレーションを被せた形での演奏動画(いわゆる「弾いてみた」「リアクション」動画)。

② Mrs. GREEN APPLEオリジナル音源に歌唱を被せた形でのカバー歌唱動画(いわゆる「歌ってみた」動画)。

③ Mrs. GREEN APPLEオリジナル音源に合わせてダンスや振付をした動画(いわゆる「踊ってみた」動画)。

④上記①~③で、 複数のMrs. GREEN APPLEオリジナル音源のみを、いわゆるメドレーとして使用する動画。

⑤上記以外で、ファンの皆様のオリジナルコンテンツに、Mrs. GREEN APPLEオリジナル音源を使用している動画。ユニバーサルミュージック公式サイトから

Mrs. GREEN APPLEがつくりあげた音源を使用できる意義

日本音楽著作権協会(JASRAC)と利用許諾契約を締結しているYouTubeやニコニコ動画、TikTokなどの動画投稿サービス(外部リンク)。

動画全盛の今、様々なアーティストの人気曲のカバー動画(いわゆる歌ってみた動画)が、これらの動画投稿サービスなどで大量にヒットするようになった。

一方で、JASRACは著作隣接権は管理していないため、オリジナル音源の使用に関してはアーティスト側に許諾を取る必要がある。特にメジャーアーティストの楽曲の場合は、音源を自前で用意しなければならないケースが多い。

そのため、オリジナル音源とカバー動画の音源を聴き比べてみると、後者は音の厚みや質がどうしても劣ってしまうことも少なくない。

そうした状況を踏まえると、Mrs. GREEN APPLEが丹精込めてつくりあげたオリジナル音源を、自由に使用できるよう規約改定したことの意義は大きい。

決して初めての例ではないが、2023年のBillboard JAPAN「年間アーティストランキング」で2位になるほどの人気ロックバンドとしては、先進的な取り組みと言えるだろう(※)。

ユニバーサルミュージック公式サイトでの発表文では、「動画利用を取り巻く時代の状況などを鑑み、またファンの皆様に、よりMrs. GREEN APPLEの音楽を楽しんでいただくために」と、自由化の経緯が語られている。

昨今の音楽シーンはYouTubeやTikTokで公開される歌ってみた動画、踊ってみた動画などのファンコンテンツで人気に火が付くことも珍しくない。時代の動きに即した動きとも言えそうだ。

(※)余談ではあるが、VOCALOID文化を出自とするYOASOBI(2023年Billboard JAPAN「年間アーティストランキング」1位)は、クリプトン・フューチャー・メディアが運営するコンテンツ投稿サイト「ピアプロ」で、インスト音源を頒布している。

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