大鶴佐助、父・唐十郎は「演劇しかない人でした」 今なお尊敬の眼差し「生き様でしか見てなかった」

初日前日会見に登場した大鶴佐助【写真:ENCOUNT編集部】

『ハムレットQ1』の初日前日会見で父について語る

俳優の大鶴佐助が10日、東京・PARCO劇場で行われたPARCO PRODUCE 2024『ハムレットQ1』の初日前日会見およびプレスコールに出席した。5月4日に亡くなった父で劇作家の唐十郎(から・じゅうろう、本名・大鶴義英=おおつる・よしひで)さんについて語った。

大鶴は、唐十郎さんが亡くなった当日は稽古が「ありました」と明かした。その後、稽古終わりに駆けつけたという。

唐さんは、息子の立場から見てどういう人物だったか、報道陣に問われて「演劇しかない人でしたね。それを教えていただきました。そんな人でした」と述懐。

さらに、一番学んだことを聞かれて「いや、もう、生き様でしか見てなかったので。“学んだ”というよりも、“学ばさせていただきました”」と答えた。

会見には主演の吉田羊、飯豊まりえ、牧島輝、広岡由里子も出席した。

シェイクスピアの四大悲劇の一つに数えられる『ハムレット』は、Q1版・Q2版・F1版と3種類の原本があり、現代ではQ1版はQ2版の原型で、 Q2版は草稿、 F1版が当時の劇団保管演出台本で、Q2版を参考に制作されたとも言われている。長さが、現在よく上演されているF1版の約半分で、物語が凝縮されたQ1版は、畳みかけるように展開される疾走感のあるドラマが魅力の戯曲。シェイクスピア劇全37作品の翻訳を達成した松岡和子による新訳で上演する。

唐さんは、1940年2月11日、東京・下谷万年町で生まれ育った。明治大文学部演劇学科卒で、63年に「シチュエーションの会」(64年に劇団「状況劇場」に改名)を結成。同劇場では根津甚八、小林薫、佐野史郎ら多くの俳優を輩出した。また、67年に新宿花園神社の境内で紅テントを建てた公演『腰巻お仙 -義理人情いろはにほへと篇』を上演。大きな話題になった。その後も作品の内容について、地元商店連合会などから「公序良俗に反する」として排斥運動が起こり、神社総代会から68年6月以降の神社境内の使用禁止が通告される事態になった。

その後、状況劇場は紅テントをゲリラ的に建てて数々の芝居を上演した。『泥人魚』『少女仮面』『唐版・風の又三郎』など代表作多数。多くの演劇関係者が影響を受けたことでも知られいる。ENCOUNT編集部

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