【かんたん心理術】テーブルの下に隠されている相手の本音を見抜く方法

黒目の動きで相手の脳内イメージがわかる、ということは広く知られています。つまり、脳内の思考は表情や体と直結しているのです。相手の混在意識(本能)が動作から表れているとしたら、それをあなたは見抜けていますか? ビジネス心理研究家の神岡真司氏に、ビジネスシーンや対人関係に役立つ知識を紹介してもらいました。

※本記事は、神岡真司:著『人生を1時間でチート化する 対人スキル20』(ワニブックス:刊)より一部を抜粋編集したものです。

「会いたい人」には表情も動作も開放的になる

人は誰でも「この相手は、本音ではどうなんだろう?」などの社交辞令に隠された真意を知りたくなったり、「あのとき相手の心が読めていれば、もう少しやり方を変えられたのに……」などと後悔することがあるものです。

人には、「オモテの顔」と「ウラの顔」があるのですから、当然なことでもあります。「顔の表情」「しぐさ」「身振り手振り」「口癖」「言動の傾向」「服装」……などなど、いろいろな局面から、人の心を読み取るコツを覚えておきたいものです。

人は、興味のあるもの、好きなモノに接したときには、瞳孔が開くことが知られています。このとき、瞳孔だけでなく、眉がやや上がり、目を見開くような感じになることが多いのです。瞳孔の拡大は小さすぎてわかりにくいので、目や眉に注目すればよいでしょう。

会いたかった人に遭遇したときには、うれしくて、目を大きく開き、眉が上がります。また、両方の手のひらも相手のほうに向けられる形で、指と指の間が開いて解放された感じになることも多いでしょう。

▲「会いたい人」には表情も動作も開放的になる イメージ:Mai / PIXTA

相手と相対したときに、相手の人が、あなたを歓迎する人なのか、そうでもない人なのか、この出会いの一瞬で相手の心がわかるのです。ということは、あなたが誰かに会うときにも、自分の顔の表情に気をつけないと、相手の潜在意識(本能)の記憶に、あなたの出会いの印象が瞬時に刻まれるわけです。

それによって「とても感じのよい人」とか、「何か自分に警戒心をもっている人」などの印象が、潜在意識の奥底に深く沈んでしまうと思ったほうがよいのです。

黒目の動き方で「真実」が見極められる

ところで、顔のなかでも、黒目の動きひとつで脳内イメージがわかる、という研究が昔から盛んです。たとえば、相手と向き合った状態で、相手の黒目がどう動くかで、脳内の思考メカニズムが現れるとされているのです。

「昨日の夜は何を食べましたか?」と尋ねたときに、向かい合った相手の目が、こちらから見て、右方面に動いた場合は「過去の記憶」を辿っています。しかし、左方向に動いた場合は「創像している」というのです。

つまり、左方向に動いたら、正直に「カレーライス」を食べたと言わずに、「昨日はしゃぶしゃぶを食べました」など、ウソの答えを創りだしている可能性が高いのです.。人によっては、この目の動きが、左右で逆になっている場合もありますから、どちらに動くのかを、事前に確認しておくとよいでしょう。

親しい間柄の人なら、相手に「過去の質問」をしたり、「未来の質問」をすることで、目がどちら方向に動くかを観察できます。その傾向をつかんでおくことで、いざというときの質問で、相手の本音がつかめます。

たとえば、妻が夫に「あなた、昨晩は残業だと言ってたけど、本当は浮気してたんじゃないの?」などの夫がギクリとするような質問をすると、「いや、10時まで残業だよ。ま、ちょっと帰りに軽く一杯ひっかけたけど……」など、うろたえて答えるときに「過去の記憶」を辿る方向でなく、「創像している」方向に黒目が動いたら怪しいと考えてよいでしょう。

何かを隠したがっていることが窺え、何らかのウソの答えを探っている可能性が高いからです。「創像している」という左方向に黒目が移動したら、「ふーむ、どうも残業はウソらしいな」などと見当がつくわけです。

▲黒目の動き方で「真実」が見極められる イメージ:Graphs / PIXTA

目の動きについては、さらに細かい分類もあります。向かい合った相手の黒目が、左上方向の場合は「視覚的な創像」、左に水平に動く場合は「聴覚的な創像」、左下方向の場合は「嗅覚や触覚、味覚などによる体感的な創像」とされており、右上方向の場合は「視覚的な記憶」、右に水平移動の場合は「聴覚的な記憶」、右下方向の場合は「記憶による思索」を辿っているとされています。

もちろん、これが逆の場合の人もいるのです。目は口ほどにものをいうということでしょうか。

会話中の癖からわかる相手の本音

会話中に、頬を手で触ったり、耳たぶを指でつまむ、こんな癖のある人は、意外にもサービス精神旺盛な人で、話を面白く「盛る」傾向のある人です。こちらを喜ばせたいという思いが強く、またナルシストでもあります。会話が盛り上がったところで、お願い事や相談事をすると、親身に請け合ってくれる人でもあるでしょう。

また、会話中に目をつぶったり、目をこすったりする人は、本音を読み取られたくないという無意識の動作ゆえに、かなり警戒心の高い人です。十分に安心させてあげないと、なかなか同意を得たり、本音の話ができない人とされています。

さらに、会話中に両手で両頬を覆うようなしぐさを見せるのは、女性に多い動作ですが、これはこちらに共感したいという気持ちの表れの動作です。こういう人は、自分の立場が尊重されていると思えば、どんどんこちら側に本音を語ってくれるはずです。

▲会話中の癖からわかる相手の本音 イメージ:kou / PIXTA

さて、テーブル越しに相対する相手との会話中に、テーブルの下に隠されている相手の足を、ひょっこり覗いてみると、相手の気持ちがわかります。テーブル下の足の状態は、意外にも無防備だからです。

両足が揃って、靴底がちゃんと床に着き、こちら側にキレイに向けられていれば、真面目に対応しようとしている状態です。しかし、片方の足先が床に正しく接地せずに横向きに転がっていたりするのは、こちらへの興味がない証拠です。退屈しているときの状況でもあります。

さらに、両足が足元でクロスされている場合は、警戒心もなく、リラックスしてくつろいでいることが窺えます。話をどんどん詰めていっても、同意や賛同をしてくれる確率は高いと判断できます。

また、出入り口の方向に足先が向けられている場合は、交渉をさっさと終わらせて、早く帰りたいという気持ちが表れています。

テーブル上の動作でも相手の心境は見抜けます。喫茶店などで、向かい合って会話しているとき、目の前のテーブル上のコーヒーカップや水の入ったコップなどを横にどけて、開放的にこちらと対峙しようとする人は、前向きな意識の人です。

反対に、コーヒーカップや水をどけず、そのままの人は、かなり緊張しているか、こちらへの警戒心が高い人といえます。

テーブル上で両手の指を組み合わせて、あたかも囲いを作っているような人は、こちらに心を許さず警戒しています。同意や賛同を得るのは難しい状況といえます。

自然なミラーリングは「共感同調」のシグナル

また、喫茶店などで対面で座り、無意識のミラーリングが行われている場合は、共感度が高く、会話もスムーズに盛り上がっている状況になります。ミラーリングとは、鏡のように相手の動作と同じこと、似た動きを無意識に行う場合のことをいいます。

こちらがコーヒーをすすったら、相手もすすり、こちらが首を揉んだら、相手も首に手をやるなど、無意識にこちらの動作に何となくつられてしまうことなのです。相思相愛のカップルを観察していると、こうしたミラーリング状況を目撃することがままあるものです。ミラーリングの状況次第で、二人の関係性の深さも窺えます。

▲自然なミラーリングは「共感同調」のシグナル イメージ:Ran&Ran / PIXTA

ところで、このミラーリングをわざとらしく行ったのでは、かえって「変な人」と警戒されかねません。あくまでも、お互いが意識しないような感じが望ましいのです。

たとえば、さり気なさを装って、喫茶店に腰かけたスタート時点から、相手がレモンソーダを注文したら、こちらも「あ、私もレモンソーダがいいな」などと追随すると、相手の潜在意識下では「同類項」「味方」といった印象が、即座に焼き付けられます。

不思議なことですが、こちらが「ぼくはコーヒー」といい、相手も「私も同じくコーヒーで」という人は、こちらへの親和性が極めて高い人です。こちらの注文にスムーズに追従する人は、早くこの場に打ち解けて、こちらと親しくなりたいという潜在意識の表れだからです。

こちらの注文に関係もなく、「メニューをちょっと……」などといって、あれこれ注文で悩む人は、こちらへの親和性が高くないばかりか、こちらへの興味・関心も極めて薄い人です。自己チューの傾向も窺える人なので、極力相手の意向を尊重した形で、交渉事を進めたほうがよいでしょう。

気分が乗らないと、懸案事項を放り出しても構わないぐらいの気分屋でもありますから、こちらから歩み寄って機嫌を取るぐらいの気持ちで対話するのが無難です。喫茶店で相手と向き合ったときには、こうしたことをさり気なく観察してみましょう。

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