札幌の保育園「不正請求」疑惑 園の運営会社の実質的経営者が手がける別の会社にも新たな「疑惑」が…

札幌市内にある4つの認可保育園。

これらの園を運営する会社に元職員らの内部告発により補助金の“不正請求”疑惑が浮上しています。

この補助金は、市に「在籍している職員の人数」などを申請し、国や市などの予算から概算で支払われます。

札幌市は5月、4つの認可保育園に対して昨年度支給した補助金のうち、およそ2600万円が過大だったとして園の運営会社に返納を求めました。

」そしてこの4つの園では申請時に“水増し請求”していた疑惑もあるといいます。

■園の関係者:

「認可外保育園の人を認可保育園のほうに人数をいれて申請を行ってました。指示として、この人をこっちにいれてくれとか、そこで働いていない職員の名前をいれてくれという指示を私も聞いていた。」

園の関係者らによりますと、運営会社の実質的経営者の男性に指示をされ、系列のほかの保育園に所属している保育士の名前を記載するなどして2021年からおよそ1億円の補助金を不正に受け取っていたといいます。

札幌市は、年に一度保育園に対して監査を行っていて、昨年度、この4つの保育園に対し経費の使い方など運営の実態を明らかにする資料を整えるように改善勧告を出しました。

■園の関係者:

「監査のほうも、常に指摘を受けている状態でした。必ず出せないのはお金関係のことなんですよね。あと保育園児の資料だったりそういうものが足りなかったりしてます。」

この会社が運営する別の認可外保育園でも問題が。

この園は、2022年度、国からの助成金およそ1億円のうち4700万円ほどが過大請求であったとして返還を求められています。

児童育成協会によりますと、返納金はまだ返されていないということです。

これらあわせて5つの園を運営する会社の実質的経営者の男性は…。

「見込みが外れることもあるし、補助金の概算と精算で差額が生じることはある。

手がけている年商から考えると数パーセント分。差額は返すつもりだ」としています。

さらに、この男性が事実上経営する別の会社では、障害者などの就業を支援する市内2つの事業所の運営も手がけていますが、この会社にも新たな疑惑が。

■(事業所の運営会社の)関係者:

「(職員は)だいたい2月の中旬くらいにほとんど(やめた)。利用者さん7.5人に対して職員1人という決まりが一応あるんですけど、20人から25人くらいの利用者さんに対して1人とか2人なのでまったく足りていない状況。」

関係者らによりますと、今年2月ごろ、事業所の職員が一斉に退職し、職員の数が不足していたということです。

さらに…。

■関係者:

「サービス管理責任者とその他の登録している職員がいないとそもそも施設の運営ができないんですよ。」

就労支援事業所の運営にあたり、配置が義務づけられているサービス管理責任者がいない状態もあったといいます。

就労支援事業所のサービス管理責任者の不足について男性は…。

「お答えする必要はないです。サービス管理責任者の不足問題は、業界全体の話なので。

健全に利用者さんもいて運営してます。」としています。

この運営会社の法人カード。

HTBが入手した利用明細書には「クラブ」や「スナック」の文字が並んでいます。

この月の請求額は、およそ170万円。

さらにこの前年、保育園を運営する別の会社名義のカードにおよそ960万円の請求があった月も。

この請求のうち700万円以上が、女性の接待を伴う風俗店での支払いでした。

■(事業所の運営会社の)関係者:

「もうひとつのグループ会社の法人カードで山のように使っていた/あのカードは2022年夏ぐらいに払えなくなってとまってたんですよね。あっちのカードがとまったからこっちのカードですすきので遊ぶっていう。」

事業所の関係者らは実質的経営者の男性が、自ら外部から仕事を持ち込み契約の内容が良くわからない状態で利用者に仕事をさせていたと指摘しています。

■(事業所の運営会社の)関係者:

「自分の知り合いに衣装を作るって仕事を勝手に受けてくるんですよね。具体的にどうすればいいのかっていう打ち合わせもできなければいくらでやるのか、その契約がどうなっているのかもわからないし。ちゃんとお金が払われているのかもわからない。」

事業所のSNSには、利用者と作ったとする衣装の画像が投稿されていました。

納品先のひとつとされる飲食店に取材を申し込みましたが、男性との関係があるため、答えられないと返答がありました。

認可保育園の疑惑について調べる札幌市は…。

■秋元克広札幌市長:

「一部在籍状況などについて、不整合というようなところがありますので、それらについて法人の方に事実関係を確認をしております。」

一方、新たに疑惑の浮上した事業所の運営会社について聞くと…。

■秋元克広札幌市長:

「現時点で調査をしているかどうかということについてもお答えは控えさせていただきたいと思います。」

【スタジオ】

実質的経営者の男性は、保育園事業を行う会社と障害者などの就労継続支援を行う会社を経営しています。

それぞれの会社には法人カードがあり、利用明細書をみると女性の接待を伴う風俗店で多く支払われていました。実質的経営者の男性はこれらの支払いに対し、

・お金は補助金ではなく銀行の運転資金だった。

・コロナ禍で、普通の飲食店が営業してなく、遅くまでやっている店に出入りしていた

・事業展開のためいろんな人と会っていて接待だけではなく広告宣伝も含めてやってたと話しています。

さらに男性は、今回、認可保育園で札幌市から過大に支給された補助金は返納するつもりだと話しています。

札幌市は5月末までに返納するように求めていて応じなかった場合、今年度の補助金の給付から差し引くなど対応を検討するとしています。

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