松本山雅FC戦「無敗【大宮アルディージャ】に何が起こったか?」(2) 大宮の「守備崩壊」と松本FW浅川隼人「先制点」、右SB藤谷壮の「追加点」

首位を走る大宮アルディージャを率いる長澤徹監督。「セカンドステージが勝負」と次節に向けて油断はないようだ。撮影/重田航

今季、J3リーグの中で無敗街道を疾走する大宮アルディージャ(以降、大宮)は、同リーグの沼にハマり込んでしまった松本山雅FC(以後、松本)をホームに迎えた。
4連勝を狙って一人旅を実行しつつあった大宮を観戦しにNACKスタジアム大宮に出かけた私は、昨シーズンの崩壊した守備を再び見せられている感覚に陥った。このコラムでは、大宮の守備の何が問題だったのかを探りたい。

では、どのように守備が崩壊していったのかを見てみよう。

松本のFW安藤翼から右サイドを駆け上がる右サイドバック藤谷壮にボールが送られる。藤谷はニアサイドを狙ってクロスを入れる。そこにFW浅川隼人がヘディングでゴールを決めた。

この場面で、藤谷がボールに触る前は、浅川はセンターバックの村上陽介の背後にいた。クロスが上がった瞬間に、浅川は村上の前に体を入れてくる。村上はボールウォッチャーになってしまって浅川が自分の背後にいることに気づいていない。したがって、浅川と競り合うこともできていない。
村上が最初に取るべきポジションは、後ろに2歩下がってボールと浅川を同一視野に入れることだ。さらに、藤谷はフリーでクロスをあげる準備をしていたので、ボールとマーカーを同一視野に入れていれば、あえて浅川をニアに誘い込んで勝負できたはずだ。

突然、浅川が自分の前に現れるのと、背後にいる浅川の存在に気づいてあえて自分の前に出させるのでは、まったく違った結果を作り出せる。一瞬の判断ミスが松本に先制点を与えてしまった。

現在リーグ5位の6得点を誇る杉本健勇だが、この日は不発に終わった。撮影/重田航

追加点となった「2点目」を防ぐには?

追加点となった2点目は、ペナルティエリアに入ってきた藤谷が左足を振り抜いてゴールを決める。ボックスの中には、大宮の3選手と松本の3選手がいて、それぞれマークについている。藤谷がボックスに入ってきた際に、小島はシュートを防ごうと近づくが間に合わない。

では、誰が藤谷をプレスすればいいのか。答えは、浦上がマークを外してシュートコースを防ぎにいくのがベストだろう。この時点で大宮が勝っていれば、浦上は冷静な判断ができたのかもしれない。こうした一瞬一瞬の判断の積み重ねが勝敗を決めていく。
大宮にとっては、長澤監督が「序章が終わって次はセカンドステージに入っていきますが、ここの間の3分の1がリーグへの勝負だと思っていますので、しっかりトレーニングして、またアウェイ讃岐へ向かっていきたいと思います」と話したように、次節が重要な試合になってくる。
ここでしっかりと守備を立て直せるのか、それともこのままズルズルとJ3の沼にはまり込んでしまうのかの分かれ目の試合になるだろう。

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