マイナス金利解除でも住宅ローンの負担は限定的? フラット35は長期金利が上がる前に契約したほうがお得?

金利が大幅に上昇しないかぎり住宅ローンへの影響は限定的

2024年4月現在、長期金利の代表的な指標といわれる10年物国債の利回りは上がり続けており、住宅ローンの固定金利は上昇すると見られています。

しかし、固定金利型の代表的な商品である住宅金融支援機構の「フラット35」は、逆に金利引き下げプランを発表するなど、大きな上昇は見られません。

また、これまで個人の住宅ローンで借り入れのメインは変動型金利でした。住宅金融支援機構の「住宅ローン利用者の実態調査」によると、2023年4月調査で全体の約7割の人が、変動型金利を選んでいます。変動金利型も一部の銀行で金利の引き上げがありましたが、全体的にはあまり大きな変化は見られないようです。

今後は、固定金利と変動金利のどちらも金利上昇の可能性は高くなりますが、今の段階では日銀も急激な利上げは考えておらず、日本経済の状況を見ながら、徐々に上げていくことが考えられます。

また、銀行間も顧客獲得のため様子見をしているところが多く、慌てて行動せずに金利を調べたり、相談してみたりするほうがよいでしょう。

フラット35を契約するなら長期金利が上がる前の今?

「どうせ金利が上がるのなら、今のうちに固定金利を契約したほうがよいのでは?」と考える方もいるでしょう。ただし、「フラット35」は一般的な変動金利の住宅ローンと違う点も多くありますので、特徴を抑えたうえで検討しましょう。

「フラット35」は収入が不安定な人でも借りられるのが特徴ですが、借りられる金額は年収に対して次のように総量が決まっています(住宅ローンだけでなく、自動車ローンなど各種ローン、カードローン、キャッシングなどの合計です)。

__・年収400万円未満の人:30%以下
・年収400万円以上の人:35%以下__

年収だけでなく、勤続年数なども問われないため、転職したばかりの人などにも適しています。ただし、「フラット35」は頭金を1割以上用意できないと、借入金利が高くなるため注意が必要です。他にも返済期間によって金利が変わるため、返済期間が15~20年を選べば金利が優遇されます。

このように比較的短い返済期間を選べる人や、頭金を1割以上用意できる人などは金利が優遇されるので検討してみてもいいのではないでしょうか。

また現在、各金融機関で扱っている変動金利の住宅ローンは、まだまだ金利が低く人気があります。将来的には、固定金利だけでなく変動金利も上がっていくでしょう。しかし個々の条件次第で、優遇金利を受けられたり、将来的に収入が増える見込みがあったりする人なら、必ずしも固定金利を選ばなくてもよいでしょう。

その場合には金利上昇のリスクヘッジとして、平行して投資や繰り上げ返済を行うなどの対策をすることをおすすめします。

すでに変動金利で住宅ローンを借りている人は、固定金利へ借り換えはまだ慎重に情報収集をしつつ様子を見るほうがよいでしょう。

まとめ

マイナス金利解除により、住宅ローンの金利も転換点を迎えています。固定金利と変動金利のどちらがいいのか悩むところですが、現状では慌てて住宅ローンを組んだり、固定金利に借り換えしたりするのは早いと思われます。今後の金利動向に注視しつつ、個人の属性や年収、頭金の有無など、条件に適した借入先を検討しましょう。

出典

住宅金融支援機構 ずっと固定金利の安心【フラット35 】
住宅金融支援機構 住宅ローン利用者の実態調査 【住宅ローン利用者調査(2023年4月調査)】

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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