武蔵小杉駅周辺エリア 8年ぶり防災計画、改訂 滞留・帰宅困難者対策が重点 川崎市中原区

武蔵小杉駅周辺の地域エリア防災計画がこのほど、8年ぶりに改訂された。大規模災害時に、中原区内の災害応急活動に支障が出ないよう同駅周辺地域の安全を確保することが目的。滞留者、帰宅困難者対策の実効性を高めるための方向性や、関係機関の役割・取り組みが新たに示された。

1日に最大約48万人が乗降する武蔵小杉駅。大規模地震発生時に、交通機関が運行を停止した場合、駅周辺の滞留者で事故や体調不良者が発生し、一斉帰宅による緊急車両の通行阻害で人命救助が妨げられ、被害が拡大することが懸念されている。

今回改訂されたのは、2016年3月に策定された「武蔵小杉駅周辺地域エリア防災計画」。鉄道事業者や警察、民間事業者など駅周辺の関係者と行政が一体となって滞留者や帰宅困難者の誘導、一斉帰宅の抑制などの取り組みの指針を明示。そこに今回、「自助」「共助」「公助」に基づいて、駅周辺の安全確保と混乱防止への取り組みを強化した。

川崎市直下でマグニチュード7・3の地震が発生した場合、新たに想定される滞留者数は最大1万4113人と試算し、駅構内・連絡通路の滞留可能人数約3600人を、周辺の歩道・公園等への分散、民間事業者と協力した施設内待機の必要性が追記された。災害後の対応では、滞留者や帰宅困難者への情報発信としてスマホやラジオを活用。要配慮者を受け入れる一時滞在施設を中原市民館に変更し、他の一時滞在施設も要配慮者の受け入れを想定した対応を取ることなども追記された。

区の担当者は「より実効性を持たせるため、帰宅困難者対策協議会を中心に計画を検討、推進していきたい」と説明。駅利用者へのアンケートで、電車が止まった場合、通勤・通学者は会社・学校に留まり、近隣住民は徒歩で帰宅する傾向にあることから、「一時滞在場所への安全な誘導や情報提供ができるか。今後、駅周辺住民の動向を探りながら防災計画を再度検討していきたい」としている。

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