8年ぶり曳山で晴れ舞台 小松・お旅まつり開幕、子供歌舞伎堂々と

堂々と晴れ姿を披露した西町の子供役者=小松市西町

 10日に開幕したお旅まつりで、「歌舞伎のまち」小松市が熱気に包まれた。当番町の西町と材木町では、新型コロナの影響で曳山(ひきやま)での歌舞伎上演は8年ぶりとあって、初舞台を踏んだ子供役者に「待ってました」と掛け声が飛び交った。晴れ姿を見せた子供役者は、250年余の歴史を誇る曳山子供歌舞伎の伝統をつなぎ、まちなかを活気づけた。

 西町の演目「辰巳用水民之礎(たみのいしずえ) 稲葉左近館之場(いなばさこんやかたのば)」は、金沢城に水を引く辰巳用水の工事を請け負った板屋兵四郎が、城の秘密を知ったため命を狙われる物語。兵四郎と恋仲にある左近娘常盤(ときわ)役の越田梨代(りよ)さん(芦城小6年)は、上品な舞を披露し「大きな拍手をもらえて練習してよかった」と頰を緩めた。

 西町の子供役者7人全員が同町出身で、芦城小に通う。観客の中にはクラスメートもおり、村田但馬(たじま)役の池田莉恋(りこ)さん(4年)は「緊張したけど、友だちが見に来てくれてやりやすかった」と笑顔を見せ、兵四郎の母お蕗(ふき)役の中澤里香さん(5年)は3日間にわたるまつりを「くじけず頑張りたい」と意気込んだ。

  ●材木町で上演

 材木町は人手不足で単独上演はかなわず、募集した「八町こども歌舞伎」の5人が同町の曳山に上で、「旅衣小松緑弥栄(たびごろもこまつのみどりはいやさかえ) 義太夫 勧進帳」を演じた。住民らが詰め掛け、義経役の荒垣瑠那さん(芦城中1年)は「たくさんの人に楽しんでもらえ、精いっぱいできた」と手応えを口にした。

 5人のうち唯一、材木町に住む富樫役の岡田陽向(ひなた)さん(丸内中1年)は、地元の曳山に上がり、「すがすがしい気持ちになった。みんなで感動してもらえる舞台をつくりたい」と力を込めた。弁慶役の村井美智乃さん(同)は「思っていた以上の演技ができた。自分も憧れてもらい、曳山の歴史をつないでいきたい」と語った。

 お旅まつりは莵橋(うはし)神社(浜田町)と本折日吉神社(本折町)の春季祭礼で、両神社では10日朝、子供獅子の宮参りが行われ、氏子町の子どもたちが地域を巡って獅子舞を披露した。

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