電撃引退の宇野に羽生結弦さんからエール「“お疲れさま”は言わないでおこうと思います」2年前の“アンサー”も

 平昌五輪で銀メダルを獲得し、金メダルの羽生結弦(右)と笑顔を見せる宇野昌磨=2018年2月17日

 フィギュアスケート男子で五輪2連覇を果たした羽生結弦さん(29)が10日、長年競った宇野昌磨(26)=トヨタ自動車=が引退を電撃発表したことを受けてコメントを寄せた。2018年平昌五輪では羽生さんが金メダル、宇野が銀メダルを獲得してワンツーフィニッシュの快挙。全日本選手権では12年大会から12年間、2人で優勝を分け合っており、ともに男子フィギュア界をけん引してきた。

 直接言葉は交わさずとも、2人だけの心温まるやりとりがそこにあった。羽生さんはコメントで「どれほどの覚悟で頑張ってきたのかを知っていますが、少し環境が変わるだけで、これからも頑張っていくのだろうから、僕からの『お疲れさま』は言わないでおこうと思います」と優しくねぎらった。

 そして2年前の“アンサー”とも取れる言葉が並んだ。

 「『ゆづくん』として『昌磨』と世界で競技してこれたことが、本当に幸運なことで、楽しかったです」。

 22年7月。羽生さんが競技会を離れてプロ転向すると発表した際、宇野は「ゆづくん」と親しみを込めながら「これからも『羽生結弦』という理想を追い求めるゆづくんとゆづくんのスケートを楽しみにしています」と敬意を込めてコメントした。それから約2年。立場は入れ替わり、今度は羽生さんが「『宇野昌磨』の理想のスケートを、ずっと楽しんでいきます」とエールを送った。

 男子フィギュア界をけん引した両雄が、競技会を離れる身となった。宇野の「普通の20代の男性同士として、ゆっくり言葉を交わせる機会を作ってもらえたら嬉しいです」との“お願い”にも粋な返しをした。「普通の、年齢が3つ違いなだけの男性同士で、たわいもない会話をしましょう」。ぬくもりあふれる言葉で、再会を心待ちにした。

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