昆夏美、新作ミュージカルでアンジェラ・アキの楽曲に没入「悦に入っちゃいけないのですが…」

記念会見に登場した昆夏美【写真:ENCOUNT編集部】

日生劇場で上演中のミュージカル『この世界の片隅に』

俳優の昆夏美、大原櫻子が10日、都内の日生劇場で行われたミュージカル『この世界の片隅に』開幕記念会見に出席。ダブルキャストで主人公の浦野すずを演じる2人が、本作の見どころを語った。

2度にわたる映画化、実写ドラマ化と、さまざまに形を変えて公開され、9日に同所でミュージカル版が開幕。こうの史代氏による原作漫画は、太平洋戦争下の広島県呉市に生きる人々がつつましくも美しい日々とそこで暮らす人々が淡々と丁寧に描かれ、それゆえにいっそう生きることの美しさが胸に迫る作品となっている。

初日を終えたばかりの昆は、色に例えての感想を求められ「新作のミュージカルなので色が付いていない白だと思うのですが、この作品の温かみという部分を入れると、真っ白というよりオフホワイトだと思いました」とコメント。「お客様がいてくださることによって作品が誕生するというのは本当だと感じました。徐々に、この作品の温度感を受け取ってくださって、劇場が一体になる感じがした。笑い、拍手を改めて肌で感じて、届いているのかなという印象で初日を迎えられました」と公演の感想を述べた。

アンジェラ・アキが手掛けた楽曲については、「お客様の前で歌った時に、あまり役者が悦に入っちゃいけないと思うのですが、すごく没入感のある楽曲が多いと思います」と説明。アンジェラのアドバイスを振り返りながら、「『端っこ』という曲は、『サクちゃん(大原)と昆ちゃんの色で歌っていいよ。任せるから』と言ってくださったのが、すごくうれしかった。2人の個性、やって来た歴史の中から浮き出る違いもあると思います」とアピールした。

大原は『端っこ』『醒めない夢』という楽曲に特に思い入れがあるようで、「初めて、この作品に携わった時に聞かせていただいて、涙が止まらない感動があった。どこか懐かしいような感じが曲から引き出される。たくさんの楽曲に感動させていただきました」とコメント。「どの曲も名曲で、バラエティーに富んだ全26曲になっているので、一曲一曲、みなさんにお届けしたいです」とアピールした。

おすすめしたいシーンを聞かれると、「日本人の自分が見ていて、やっぱり桜って美しいというのが、花祭りの曲をみんなで歌うシーン。歌とセットに感動して、それだけで泣ける。自分自身が櫻子という名前なので、桜というのが親近感があって大好きです」と笑顔で回答。公演の成功を願い、「最終的には見たお客様が絶対に笑顔で劇場を去ることができる、それくらいあたたかい物語になっています。(ダブルキャストで)組み合わせによって、お芝居の感じも違うと思うので、1回とは言わず4回見に来てください」とメッセージを送った。

本ミュージカルは、全国ツアーを展開し、本作の舞台である広島県呉市にて大千穐楽を迎える。ENCOUNT編集部

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