井上尚弥「PFP1位」キープは可能か クロフォード、ウシクとの争い…元世界王者が見解

プロ初ダウンを喫しながらも、ネリ戦を評価された井上尚弥(左)

名実ともに〝世界最強〟だ。ボクシング界で最も権威ある専門誌「リング」は9日(日本時間10日)、パウンド・フォー・パウンド(PFP=階級差のない最強ランキング)の最新版を更新。世界スーパーバンタム級4団体統一王者・井上尚弥(31=大橋)が、テレンス・クロフォード(米国)を抜いて約1年9か月ぶりにトップに返り咲いた。元WBO世界ミニマム級王者の福原辰弥氏(35)が取材に応じ、〝井上1位〟に太鼓判を押した。

井上は6日のルイス・ネリ(メキシコ)との初防衛戦(東京ドーム)で1ラウンド(R)にダウンを奪われたが、その後は3度のダウンを奪い返し、6RTKO勝ちを収めた。この戦いぶりが評価され、昨年7月に世界ウエルター級王座4団体統一を果たしたクロフォードを抜いて、ランキング1位となった。

福原氏は「(井上1位は)妥当だと思う。井上のダウンがどれだけ影響するかなとは思っていたけど、1位になる予測はできた。海外からしても重量級の方が評価は高いので、その中で日本人が1位になるのは少し前まで考えられなかったし、すごい」と声を弾ませた。

2位のクロフォードはスーパーウエルター級に階級を上げ、8月に約1年ぶりに、WBA同級王座とWBO同級暫定王座をかけてイスラエル・マドリモフ(ウズベキスタン)と戦う。3位のWBAスーパー、IBF、WBO世界ヘビー級統一王者のオレクサンドル・ウシク(ウクライナ)も、今月18日にWBC同級王者のタイソン・フューリー(英国)と4団体統一戦を行う。

井上は中量級、重量級の世界的なスーパースターよりも高い評価を得た。福原氏は「クロフォードが試合をしてなかったから、井上が1位になったのもあると思う。クロフォードやウシクも試合が決まっているので、彼らの試合後に順位の変動があるかも。ただ、次のクロフォードの相手は、めちゃくちゃ評価が高い選手ではない。クロフォードが勝っても内容が悪かったら、井上が1位のままかもしれない」と今後の順位の展望を語った。

井上陣営は9月に国内で、IBF&WBO世界スーパーバンタム級1位サム・グッドマン(オーストラリア)との防衛戦を希望している。しかし、井上の共同プロモーターを務めているトップランク社のボブ・アラム氏は、元IBF同級王者テレンス・ジョン・ドヘニー(アイルランド)と次に戦う可能性も示唆している。

グッドマンについて、福原氏は「弱くないし、強いことは強い。ジャブがしっかりついてきてカウンターも打つし、スピードもあるけど、総合面で井上には勝てないと思う」とその実力を見定めた。

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