法律はどのようになっているのか
故意でないと分かっていても、高かったスーツや大切にしているものを汚されてしまったとき、クリーニングに出して元通りにするための代金を請求したい気持ちになります。しかし、お金を請求することは相手が親しい人であるほど言いづらいものです。
法律の観点から考えると、服を汚してしまった場合にはどう対応するのが正しいのでしょうか。民法七百九条によると「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。」とされています。
つまり、自分のミスにより相手の持ち物を汚したら、クリーニング代を支払う、弁償するなどの対応が必要だということです。
他人の服を汚してしまったときのマナー
損害賠償という言葉を聞くと大げさに感じますが、法律を抜きにしても、人のものを汚したり傷つけたりした場合には、誠意を持って対応するのがマナーだといえるでしょう。
もし、自分が人の服を汚してしまったら、まずはそれに対して誠実に謝罪をするのが大切です。それからおわびをさせてほしい旨を伝え、必要なクリーニング代を渡しましょう。
さらに、こちらが誠意を持って対応したいと思っても、相手には急ぎの用事がある場合もあります。おわびをするにしても、今すぐ対応すべきなのか、後日あらためて対応すべきなのかを判断し、迷惑をかけないように行動しましょう。
クリーニング代の相場は?
おわびをしたいと伝えても、相手から断られるケースもあります。それでは申し訳ないと思い、クリーニング代を渡したいときには、どれくらいの金額を渡せばよいのでしょうか。
一般的なクリーニング代は、スーツ一式であれば2000〜3000円程度、ワイシャツは500〜1000円程度です。ただし、通常のクリーニングでは取れないシミがついていれば、別途染み抜きのオプション料金が必要になることもあります。具体的な金額の請求をしてもらえないときは、相場を参考に渡す金額を検討しましょう。
汚れの応急処置としてやるべきこと
うっかり洋服を汚してしまったときは、慌ててその場にあるもので汚れを落としたくなります。応急処置を正しく行えば、クリーニングに出さなくても家の洗濯で汚れを落とし切ることもできるかもしれません。しかし、やり方を間違えると、かえって落ちない汚れになってしまうこともあるため、注意が必要です。
飲食店にいる場合、とっさにおしぼりで汚れを拭いてしまうことがあります。
しかし、おしぼりは微量に塩素系漂白剤が含まれていることがあり、拭き取ったところだけ色落ちしてしまう恐れがあります。また、ゴシゴシ拭くと、汚れが繊維の奥に浸透してしまったり、デリケートな素材は繊維を痛めてしまったりすることもあるため、優しく拭き取りましょう。
モヤモヤした気持ちにならないために
会社の部下に洋服を汚されてしまったら「気にしないで!」といいつつも、モヤモヤした気持ちが残ってしまいます。お互いに気持ちよく解決するためにも「このような場合にはおわびして、クリーニング代をお渡しするのがマナーだよ。」と教えてあげるのもよいかもしれません。
反対に、もしも自分が誰かの洋服を汚してしまったら、おわびの気持ちをしっかりと伝え、迷惑にならないよう最善の方法で対処しましょう。
出典
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー