南足柄市清掃工場 再エネの電力供給を開始 市町の施設では県西初 南足柄市・大井町・松田町・山北町・開成町

再エネ電力供給が始まった南足柄市清掃工場

南足柄市清掃工場(同市内山)では脱炭素化の一環で4月23日から、施設で使用する電力について、温室効果ガス(CO2)を排出しない作り方で生み出された再生可能エネルギー100%電力に切り替えた。

神奈川県は2050年までに全ての県有施設の使用電力について、太陽光や水力などCO2を排出しない、再生可能エネルギーで発電したものへの切り替えを目指している。県立学校ではすでに全校で再エネで作られた電力が使われるなど、今年4月時点で県有施設の52%で導入が進んでいるという。

南足柄市では22年度に「ゼロカーボンシティ」を宣言。市全体の温室効果ガス排出量を30年度までに52・4%削減(13年度比)する目標を設定し計画の策定や市内での啓発等に取り組んでいる。

市によれば、22年度に同市内で排出されたCO2のうち、電力由来が全体の92%だったという。そのため削減の一歩目として、市公共施設で最も電力消費量が多い清掃工場で使用する電力を再生エネ由来のものへ切り替えを決定。県と連携している「首都圏再エネ共同購入プロジェクト」で小売り電気事業者を決め、供給を受け始めた。

今回の切り替えにより、年間624・45t(22年度実績)のCO2削減効果が見込まれており、この値は市有施設全体の約11・3%にのぼるという。また、同施設の電力料金も23年度と比べて年間約120万円の減額となる見込み。

市内事業者へ啓発を強化

南足柄市全体の温室効果ガス排出量のうち、産業部門が占める割合は20年度の推計で69%で、全国平均の43%と比較して高い状況にある。

市では同部門への啓発を強化するため昨年2月に「カーボンニュートラル・パートナーシップ協定」を創設し現在約40者と締結。パートナー事業者らを集めたセミナーで実践事例やコスト削減等の経営上のメリットを紹介するなどゼロカーボンへ向けた取り組みを進めており、4月25日現在で守山乳業(株)が再エネ由来電力を使用している。

市環境経済部の職員は「事業者の自主的な努力のおかげで排出量は減少傾向にあるがそれにも限界がある。今回を機に再エネ由来の電力供給を選択肢に加えていただき排出量削減を加速していけたら」と話した。今後は今回の電力切り替えの結果を見ながら他施設での再エネ電力の使用を検討していく方針だという。

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