バルミューダ、「軸足」強化で赤字大幅削減 脱1ジャンル1商品で挑む足固め戦略とは

バルミューダは、2024年12月期第1四半期の決算を発表した。売上高は前年比1.9%減の23億5900万円、営業損失は同4億1600万円から2億3600万円、経常損失は3億5400万円から1億6000万円、四半期純損失は11億4400万円から1億6000万円にそれぞれ赤字幅を縮小した。

3つの黒字化対策の効果は

「売上高は前年並みを確保し、新製品やリニューアル製品の投入などにより国内は増収に転じている。さまざまな黒字化対策を実施しており、その効果によって営業損失が改善した。第1四半期の段階で黒字化までは転じていないが、営業損失を大きく改善できたと考えている」(バルミューダ 代表取締役社長の寺尾玄氏)と振り返った。

バルミューダが取り組んだ黒字化対策は「売上総利益率の改善」「固定費の圧縮」「家電カテゴリー製品の積極的な展開」の3つ。

「今期はなんとしても黒字化したい。その計画に向けては順調なスタートを切っていると考えている。売上総利益率は31.3%と前年同期の31.1%からほとんど変わらないが、前提になっている平均の為替レートは大きく異なる。2023年の第1四半期は132円だったが、現在は149~150円ながら2023年度同等の粗利率を確保している。これは原価や販売価格などの調整による施策が効いているもの。円安に対する耐性がついてきたと見て取れる数字だと思う」とコメントした。

このほか、固定費の圧縮として2022年末に213名いた人員を、2024年には145名まで減らし、約1億円の人件費削減を実施。家電カテゴリー製品については「バルミューダの成長の原点になった、扇風機『グリーンファン』の新製品を4月に発売したほか、海外における製品ラインアップも拡充した。第1四半期の大きなトピックスとしては、主力商品であるトースターの新ラインアップとして『リベイカー』を発売したほか、2023年後半に発売した独自のホットプレートやトースターの上位モデルなどを発売している。第2四半期においてもポットの新色や他国への扇風機、電子レンジなどを投入していく」と積極展開を進める。

海外市場の現状については「売上高が減少しており、大きな要因は韓国の売上減。2023年は、炊飯器の新製品がかなり大きく膨らんでいたが、2024年は新商品効果がなくなった。今まで、海外は韓国が強かったが、2023年後半から東南アジアでの販売を開始した。立ち上がりは想定どおり。今後よりよい市場にするべく努力していきたい。また、一番大きなターゲットにしていきたいのは米国。数年前から参入しているが、米国のお客様との強い関係を作っていける可能性を強く感じている」と分析する。

1ジャンル1商品の戦略から方向展開した背景

バルミューダが得意とするデザイン性、機能性を追求した家電が増えてきたことについては「私たちが先駆者だと自負しているが、他社の家電デザインが優れていることも事実。デザイン家電が増えることで、バルミューダにネガティブな影響を与えているかについてはその通りとも言える。しかし逆に言うと、それを超えて販売力を維持しなければならないのがバルミューダだと考えている」と強い意思を見せる。

さらに「新たに発売したリベイカーは新しいトースターのラインアップ。これまでは1ジャンル1商品の戦略を敷いていたが、それだけでは足場を固められないと感じている。トースターであれば、レギュラーモデルと上位機、さらに普及価格帯のものなど、縦軸を持つことで商品ジャンルに対して強いポジションを作っていきたい。リベイカーは発売後1カ月程度が経過しているが、ラインアップ戦略がうまく機能していると考えている」と新戦略に踏み出した背景を話した。

会見のなかで株価について質問が飛ぶと「一時期は1万円程度の株価がついていたことがあった。あの時は正直に言って期待が過剰ではないかと感じていたところもある。現在の株価とは大きな差がついているのは十分に認識している。ただ、状況や事業の流れを考えると、一度上がり、今下がっているのも納得している。現在はまず大赤字を回復させるのが喫緊のテーマ」とコメント。

さらに「黒字化を成し遂げると同時に今後の成長戦略も考えている。私たちが成長してこられたベースには為替が影響している。(円安によって)その立脚点が崩れてしまったのが2023年。足場がぐらついた中でもきちんと黒字を出してそこから成長戦略を描き、企業価値を揚げていきたい」と続けた。

2024年12月期の通期見通しについては「第1四半期は、計画より少し良い形で終えられた。第2四半期での黒字化をなんとしても達成し、通期での黒字化もぜひとも成し遂げたい」と意気込みを見せた。

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