松浦火力1号機 2030年に休廃止 2号機は運転継続 長崎

 電源開発(Jパワー)は10日までに、長崎県松浦市の松浦火力発電所1号機を2030年に休廃止する方針を明らかにした。緊急時の予備電源として使う可能性もある。残る2号機はアンモニア燃料を導入し、二酸化炭素(CO2)を回収して地下に貯留する「CCS」技術も取り入れ、運転を継続する。
 1号機は1990年、2号機は97年に運転開始。ともに最大出力100万キロワットで国内有数の規模を誇る。九州電力松浦発電所(1号機70万キロワット、2号機100万キロワット)と隣接し、揚炭設備などを共同利用している。
 Jパワーが9日公表した中期経営計画(2024~26年)によると、50年時点で国内発電事業のCO2排出を実質ゼロにする目標に向け、非効率石炭火力を減らす。松浦2号機などの高効率石炭火力も最適な技術を選択し、低炭素化・脱炭素化を図る。
 松浦2号機は30年以降も、燃焼時にCO2を出さないアンモニア燃料を活用。石炭と混焼する場合はCCSを組み合わせる。同社によると、CCSの設置場所は未定で、複数の発電所と共用する可能性もある。
 松浦市の友田吉泰市長は1号機の計画に対し「点検の数や石炭の荷揚げ量が減る分、雇用や市内経済への影響は避けられない」と懸念。「県や電力会社と協議しながら対応したい」と述べた。2号機については「最先端の取り組み」と評価した。
 一方、Jパワーは昨年11月、西海市の松島火力発電所1号機(50万キロワット)について、24年度末での廃止を公表していた。今回新たに兵庫県の高砂火力発電所1、2号機(各25万キロワット)も30年までに廃止するとした。

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