若者の国際会議「ワン・ヤング・ワールド(OYW)」の分科会「ピース・プレナー・フォーラム」に参加する国連軍縮担当上級代表の中満泉事務次長が10日、長崎市内で記者会見し、被爆地長崎の役割やフォーラムへの期待を語った。一問一答は次の通り。
-被爆地長崎の世界に対する役割は。
新しい兵器や、宇宙とサイバー(電脳)領域に広がる活動領域など安全保障の環境は激変している。戦争や武器が人間にもたらすインパクトを体験したこの地から、「どのように人間を中心に安全保障を考えるか」という視点を発信していくのは重要なこと。
-平和な社会には、まだ至っていないが、フォーラムをどんな形にしたいか。
現実は厳しく、国連に入ってから、ここまで危機感を持って仕事をするのは初めて。平和と安全保障の問題は特効薬がなく、いろんな人が協働し、努力と議論を重ねて初めてできること。人類や地球的なレベルで物を考え、個人として何ができるかを考える人たちが出てきてほしい。
-平和活動とビジネスの可能性や課題は。
日本の平和活動はボランティアに寄っているかもしれないが、欧米では企業・経済活動そのもので、社会的貢献をする考えが主流化している。平和がないと経済活動もうまくいかないのは当然のこと。起業家が企業活動を通じて平和な社会にどう貢献するのか考える機会が日本でも(今回)できることは意味がある。
-平和に関心がない人にどう広げていくか。
私自身も注意していることだが、誰にでも分かってもらえるような形でメッセージを発信しなければいけない。平和というのは、世の中の不正義や不平等を是正することから始まる。遠い世界の話ではなく、身近な問題。個人として身の回りに何ができるか考え、自分たちがより幸せになれるよう、自分ごとにするのがポイント。