月収44万円・60歳の定年サラリーマン〈給与大幅減〉で大ピンチも「月4万円の給付金」に歓喜!ところが…再び「収入減」で落胆のワケ

定年後も働くことが既定路線になりつつあるサラリーマン。しかし、定年を境に給与が大幅に減り、家計がピンチに陥ることも。そんな人たちを救ってくれる「給付金」がありますが、どうやら暗雲が立ち込めている様子……みていきましょう。

定年サラリーマンの受難「給与が35%も減っちゃった!」

サラリーマンは、日々、乗り越えなければいけない“壁”がありますが、定年前後に乗り越えなければならないのが「給与減の壁」です。

厚生労働省『令和5年賃金構造基本統計調査』によると、サラリーマン(平均年齢43.6歳)の平均給与は月収で36.3万円、賞与も含めた年収は596.9万円です。

20代前半では月収23.2万円、年収で359.4万円だった給与は、年齢を重ねるごとに増えていき、多くが定年を迎える60歳前にピークに達します。しかし定年後、上昇の一途を辿っていた給与は減少。月収で15.5%、年収で21.2%の減少となります。

【年齢別:サラリーマンの平均給与と増減率】

20~24歳:23.22万円/359.47万円

25~29歳:27.14万円/449.75万円(16.9%/25.1%)

30~34歳:30.70万円/516.72万円(13.1%/14.9%)

35~39歳:34.48万円/580.75万円(12.3%/12.4%)

40~44歳:38.02万円/631.32万円(10.3%/8.7%)

45~49歳:40.64万円/670.90万円(6.9%/6.3%)

50~54歳:42.83万円/707.24万円(5.4%/5.4%)

55~59歳:44.08万円/725.54万円(2.9%/2.6%)

60~64歳:37.24万円/571.51万円(-15.5%/-21.2%)

65~69歳:33.17万円/468.25万円(-10.9%/-18.1%)

※数値左より、月収/年収(月収増減率/年収増減率)

ただ、これは正社員で比較した場合。現在、多くのサラリーマンが定年を境に再雇用となり、雇用形態を変更。嘱託社員や契約社員など、非正規社員となるケースが多いでしょう。

60代前半、非正規社員の平均月収は28.5万円、年収が434.4万円。50代後半からは月収で35.3%減、年収で40.1%減となります。

大きく減少する給与。正社員だったころと同じ感覚でお金を使っていると大赤字は必死。そのため定年前に家計を見直し&サイズダウンしておく必要があるのです。

給与が大きく減ってしまった「定年サラリーマン」がもらえる給付金だが…

――給与が3割以上も減ってしまうとは……

そんな現実に肩を落とす60代サラリーマン。そんな苦しさから、ほんの少し救ってくれるのが「高年齢雇用継続給付」です。これは60歳以降の給与が60歳時点の給与と比較して75%未満だった場合に支給される給付金。60歳以降の給与に所定の給付率を掛けて支給額を決定します。

現在の給付率は最大15%(低下率61%の場合)。60歳時点の給与が44万円で以降の給与が月26万円だとすると、「26万円×15%=3.9万円/月」が支給されます。

――なんと月に4万円! ありがたい!

なお「高年齢雇用継続給付」の支給条件を整理すると、以下の通り。

●60歳以上65歳未満で、一般被保険者として雇用保険に加入していた人

●60歳時点の給与とそれ以降の給与を比較して、75%未満に低下した人

●雇用保険の支払期間が5年以上あった人

なんともありがたい「高年齢雇用継続給付」ですが、定年年齢の引上げなどにより、その役割を果たしつつあることから、将来的に廃止の方向にあります。その一環として、2025年4月から給付率は10%に。前出のサラリーマンの場合、「26×10%=2.6万円/月」と月1万円強の減額になります。

――なんと、1万円の減額……痛すぎる!

なお「高年齢雇用継続給付」は本人に直接支給される給付金ですが、申請は勤務先を通じて行います。会社がこの制度を知らない場合もあるので注意が必要です。

[参考資料]

厚生労働省『令和5年賃金構造基本統計調査』

厚生労働省『高年齢雇用継続給付の見直し(雇用保険法関係)』

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