巨岩に漁の安全願う 立石大明神を参拝 青森県風間浦村

海の守護神として信仰を集める「立石大明神」。今年も住民たちが参拝に訪れた

 青森県風間浦村桑畑地区の山中に、住民たちが海の守護神として古くから信仰する巨岩「立石大明神」がある。毎年5月8日に参拝するのが習わしで、今年も8日、住民らが漁の安全などを願った。

 立石大明神は、桑畑漁港から南に約2キロの位置にある。国道279号から林道に入り、シラネアオイやクルマバソウなどの山野草を見ながら30分ほど歩くと、垂直にそびえ立つ高さ約25メートルの岩に到着。近づくと一枚岩ではなく、幾つもの岩が積み重なっていることが分かる。頂上には直方体に見える岩がのっているなど神秘的な形状でもある。

 濃霧で方角が分からなくなった漁師が、沖から立石大明神の方向に向かって祈ると、遠くの方にぼんやりと光が見えて無事に帰ることができた-との言い伝えが地区に残っている。昔は5月8日に岩の前で花見を行うなど、地区の象徴として深く根付いてきた。

 今年も住民たちは岩の周辺に万国旗を飾ったり、供え物を上げたりして、岩に向かって手を合わせた。桑畑地区出身で、数年ぶりに訪れたという女性(66)=八戸市在住=は「これだけの石が山の中にあって、地区の人たちが守っている。小さい頃からすごいと思っていた」と話した。

 一方、村によると、桑畑地区の人口(4月末現在)は87人と村の地区の中で最も少ない。この日の参拝も数人程度だったとみられ、伝統行事をどう継承していくかが課題となっている。

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