福島県白河市がビャッコイ自生地植物調査検討委発足 国天然記念物指定を目指す動き本格始動 初会合で自生地を視察

ビャッコイ自生地を視察する黒沢委員長(左)ら委員

 福島県白河市は10日、「市ビャッコイ自生地植物調査検討委員会」を発足させた。「ビャッコイ」自生地の国天然記念物指定を目指す動きが、本格的に始動した。

 ビャッコイは市内表郷地域に北半球では唯一、自生するとされる希少な水草。県天然記念物に指定されているが、近年その姿が減少し絶滅が懸念されている。

 市は不動清水がある自生地約1.4ヘクタールを「金山自然環境保全地域」として国指定の予定範囲に定め、指定に必要な植生調査や植物相調査、生育環境調査を実施する。調査内容や結果に対して指導助言を求める組織として、専門家3人で構成する委員会を立ちあげた。

 委員会の初会合は文化庁と県文化財課からの出席者を交え市役所で開かれ、委員長に黒沢高秀福島大教授(植物分類学、生態学)が就いた。調査の方針や内容に意見を交換した後、ビャッコイ自生地を視察した。市は今年度数回にわたり調査を実施し、委員会を開く。来年度中に国指定に向けた意見具申を行う方針。

 自生地を視察した黒沢委員長は「ビャッコイの減少がかなり進んでいる。保全に向けた調査が必要になる」と、現状への危機感を示した。

 黒沢委員長以外の委員は次の通り(かっこ内は役職と専門分野)。

 ▽竹原明秀(元岩手大教授、県文化財保護審議会委員=生態学、環境学)▽矢野興一(岡山理科大准教授=多様性生物学、植物分類学)

希少植物のビャッコイ=白河市文化財課提供

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