屋久島の植物の小型化 シカに食べられるのを避けようとしたか 東北大と福島大などの研究グループ突き止める

 鹿児島県にある世界自然遺産の屋久島の植物が、シカに食べられるのを避けようとして小型化した可能性があることを、東北大と福島大などの研究グループが突き止めた。屋久島には5センチに満たない植物が80種類以上分布するが、その要因は明らかになっていなかった。論文は9日、英植物生態学専門誌に掲載された。

 研究グループは、屋久島に生息するヤクシカが好む植物30種と好まない植物10種の計40種類を選定し、島外で採取した近縁種や同一種と長さを比較した。その結果、シカが好む植物は半分から10分の1程度まで小さく、シカが好まない植物に大きな差はなかった。植物の栄養素にもほぼ変化はなかったという。

 福島大食農学類の福島慶太郎准教授は気象や土壌などさまざまな仮設が唱えられてきたが、科学的に検証されてこなかったと指摘。「独自の進化を遂げた屋久島の生態系の新たな一面を明らかにした」と話した。今後は小型化させた遺伝子を特定する。品種改良への応用も期待されるという。

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