県民の思い出つまる「ふるさとのデパート」山形屋…再建の未来は、メインバンクが主導する金融機関の覚悟にかかる

1998年10月、ライトアップされた山形屋の新しい外壁=鹿児島市

 山形屋(鹿児島市)が申請した「事業再生ADR」は、民事再生や会社更生といったすべての取引先が影響を受ける法的整理とは異なり、同社と金融機関で手続きが進められる。県内金融機関からは、地元経済、社会での存在の大きさを挙げて再建に理解を示す声が上がる。

 「山形屋は地域になくてはならない存在。可能な限り支援する」。南日本銀行の田中暁爾頭取は10日の決算会見で再建に協力する姿勢を明確にした。関係者によると、私的整理の方針は、メインバンクの鹿児島銀行が主導している。昨年5月の金融団による協議開始後は、つなぎ資金の融資も同行が担ってきた。

 県内のほかの金融機関の幹部は「どこも山形屋をつぶそうとは思っていない。鹿銀を中心に前向きに再建の手伝いをする」、「メインバンクの鹿銀主導でしっかり取り組むと思う」と話す。

 今年1月に県内唯一の百貨店が閉店した島根を例に挙げて「同じようなことがあってはならない。これまでと同じように付き合い、見守っていく」と強調した関係者もいた。一方で、金融団の協議では、県外銀行からメインバンクの覚悟を問われたという。

 鹿児島銀行は「全金融機関で合意されていない段階でのコメントは控える」としている。

電車通りを挟んで山形屋の正面に建つメインバンクの鹿児島銀行本店

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