家に居場所がありません…月収「80万円」、退職金「3,000万円」のエリート部長、寂しすぎる定年後の生活

学校を卒業し、40年近くに及ぶサラリーマン人生。仕事では苦労ばかりだったから、定年後はパーッと楽しもう……という人は多いものの、一方で燃え尽きてしまい、「ずっと何もしないで家にいるだけの存在」になってしまうケースも珍しくありません。みていきましょう。

羨望の「エリートサラリーマン」でも定年で燃え尽きて

――ほんとうにイライラする!

50代女性の投稿。何にイラついているのか、というと、定年を迎えた自身の夫。

――ただ家にいるだけなんだから、自分のことは自分でして

――毎日、毎日、することがなく家にいるだけ

――何かすることはないのか、この人は

――この状況がずっと続くと思うと……地獄

なんとも辛辣な言葉が並びます。

現役時代は「俺の稼ぎで家族を養っているんだ!」と自信に溢れていたサラリーマン。定年、そして現役引退後は特にすることがなく、家でボーと過ごすだけ……よく耳にする話です。仕事に全力投球だったというエリートほど、燃え尽き症候群のように、現役引退後は抜け殻状態に。

厚生労働省『令和5年賃金構造基本統計調査』によると、大企業に勤務する大卒・非役職者(平均年齢38.5歳)の平均給与は月収で36.4万円、年収で640.9万円。

そして44.6歳の時に係長に昇進。給与は月収で41.0万円、年収で734万円。

そして48.7歳の時に課長に昇進。給与は月収で61.5万円、年収で1,055.9万円。

さらに52.8歳の時に部長に昇進。給与は月収で76.5万円、年収で1,303.4万円。

サラリーマンのなかでもエリートとされる人生を歩み、最高潮のまま60歳でフィナーレ。日本経済団体連合会『2021年9月度 退職金・年金に関する実態調査』によると大卒会社員の退職金は2,243万円で、月収換算38.1ヵ月分。大企業勤務の大卒部長の場合、定年前の月収は平均77.7万円。単純計算2,960万円もの退職金を得ます。

そんな、サラリーマンのトップに立つようなエリートでも、定年&現役引退後は、家でやっかいもの扱いされることも。

――家に俺の居場所はない……

頑張って働いてきた先に待っている、何とも寂しい限りの定年後の生活。「こんなはずではなかったのに……」後悔の念を抱える元・エリートも多いのではないでしょうか。

夫婦一緒を願う「定年夫」と、夫と一緒にいたくない「妻」

少々古い調査になりますが、株式会社インテージが2019年に行った『夫婦に関する意識調査』で「自分たち夫婦の仲をどう感じているか」を7段階で聞いたところ、「よい」の3段階で答えた人が65%。3人に2人は良好と回答しています。一方で夫婦仲が「よくない」の3段階を答えた人は、全体で10.8%。10人に1人程度がよくないと回答しています。

さらに年齢別でみていくと、女性の若年層は数字が高く、20~30代では8割近くが「よい」と回答。しかし40代以降は60%台になり、60代女性では60.0%が「よい」と回答。12.4%は「よくない」と回答しています。

一方で男性は20代が最も高く、年代が上がるごとに低下。しかし60代になると大きく数字が上昇し、65.7%が「よい」と回答。8.6%は「よくない」と回答しています。

そんななか、「夫婦と一緒に楽しみたいこと」を聞いたところ、最多は「泊りがけの国内旅行」。「庶民的なお店で外食」「日帰りの国内旅行」「ドライブ」「高級レストランで外食」「海外旅行」と続きます。

さらに年代別にみていくと。男性は年代での大きな変わりがないのに比べ、女性は40代から大きく数字が下がる傾向にあります。また定年を迎える人も多くなる60代男性では、夫婦一緒に何かを楽しみたいという割合がやや上昇。ここに、妻「夫にイライラ」夫「妻がかまってくれない」と、夫婦の意識の差が生まれてしまうようです。

――定年まで頑張れたのは、君(妻)のおかげだよ。ありがとう

そんな言葉を投げかけたところで、仕事を優先してきた夫に少々冷めた感情をもった妻の思いは、すぐには戻ることはないでしょう。夫婦で楽しい老後を過ごすためにも、その下地作りは現役時代からコツコツと築いていかないといけないようです。

[参考資料]

厚生労働省『令和5年賃金構造基本統計調査』

日本経済団体連合会『2021年9月度 退職金・年金に関する実態調査』

株式会社インテージ『夫婦に関する意識調査』

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