「落ちていくのは、早いですね」 5年未勝利の時松隆光、復活の兆しは

ずーっと考えちゃう(撮影/大澤進二)

◇国内男子◇For The Players By The Players 2日目(10日)◇THE CLUB golf village(群馬)◇7172yd(パー71)◇晴れ(観衆866人)

同組2人がバーディなのに、パーだった自分に贈られる拍手がなんだか申し訳ない。「OBも無かったのに、きょうマイナス9ptでした」。29位から出た時松隆光は、「80」を叩いて120位に後退。「金曜日に、荷物をまとめるのも慣れちゃいました」と、キャディバッグを車の後ろに詰め込んだ。

「曲がって、乗らなくて、寄らなくて、入らない。自分でも原因がわからない」。2018年5月の「関西オープン」でツアー通算3勝目を挙げてから、未勝利の期間は伸びたまま。昨年から始まった不調は、年をまたいでも払しょくできずにいる。

昨年の予選通過は14試合にとどまった。賞金シードも危ぶまれる位置で迎えた土壇場の「カシオワールドオープン」で10位に入って何とか7年連続でキープ。初シードを獲った2016年以降、ランキング54位は自己ワーストになったが「本当に、気合でやりました」と約5カ月ぶりのトップ10を振り返った。

大きくスイングを変えたわけでもない。「多少飛ばしたい、とかはあったと思うけど…。(持ち球の)フェードが強くなれば、ちょっと捕まえるドローを打つ感じだと良いフェードが出ていた」とショットが右に左に行き始めたきっかけは、まだ明確になっていない。

手ごたえが無いまま迎えた3月、今季初戦のアジアンツアー「ニュージーランドオープン」を26位で終え、国内開幕の4月「東建ホームメイトカップ」は予選落ち。前週「中日クラウンズ」は12位で予選通過したが、決勝で伸ばせず44位で終えた。

ショットがなかなかまっすぐ行かない(撮影/大澤進二)

今週は強風の中で回った初日に予選通過圏内につけたが、2日目はボギーが6つに、ダブルボギー以上の“ピックアップ”がひとつ。「最近の若い子はすごい球を打つ。余計に、ああいう風に打ちたいなあと思ってしまう」と、同組の杉浦悠太が11位で決勝に進むのを見送った。

「全部うまく行かないのは分かっているけど、1発悪いのが出たらすーごい、考えちゃう。良い時は深く悩まないのに」。迷うほど、ちょっとしたミスがずっと頭に残る。「落ちていくのは早い。こうやってみんな、迷路にはまっていくんですね」と、沈みそうな気持ちを必死で保つ日々が続く。

次週は歴代優勝者として臨む関西オープン。プロ転向後に出場した8度のうち、予選落ちは22年の1度だけ。ほかはトップ25を外していない。

オフに見てもらった篠塚武久コーチからは、もう大幅な修正点は言われなくなった。「ちょっとずつ、ちょっとずつ改善していけたら」と、思い出の大会で再起を図る。(群馬県安中市/谷口愛純)

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