ブリの完全養殖施設公開 教育や研究の拠点化目指す 長崎・高島水産研究所

完全養殖を目指して飼育されているブリの稚魚=長崎市、高島水産研究所

 長崎大は10日、持続可能な養殖事業の実現を目指す産学官連携プロジェクト「ながさきBLUEエコノミー」の拠点となる長崎市高島町の「高島水産研究所」を初めて報道陣に公開した。プロジェクトリーダーの征矢野清教授(水産学)は、将来的には教育や民間研究の拠点となる「サイエンスアイランド高島」を目指すとしている。
 研究所は、旧市水産センター高島事業所を改修し、ブリの人工種苗センターとして整備した。プロジェクトでは、人工種苗の生産と養殖技術の向上を図り、安全安心で環境負荷の少ないブリの完全養殖システムを確立。「JAPAN鰤(ぶり)」としてブランド化し、海外市場に進出する計画だ。
 3月に搬入した2千尾のブリの稚魚は現在、平均14.7センチ。通常、産卵は稚魚の搬入から3年後となるが、暗室で日照時間を操作するなどして時期を数カ月前倒す予定だ。また、4月に搬入した約6キロの親魚30尾は水温操作やホルモン注射などで年明けごろまでの産卵を目指している。
 夏までに施設内に四つの井戸(浸透水)を設置し、取水能力を現在の100トンから200トンに上げる。今後、飼育する水槽を増やして生産能力の向上を図り、ブリ以外の飼育も視野に入れる。
 征矢野教授は、小中学生の教育や民間企業の研究などに活用し、地域活性化を図る「サイエンスアイランド高島」の構想を示した上で「長崎の活性化につなげる第一歩。水産を一つの地域産業として魅力あるものにしていきたい」と述べた。

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