新宿タワマン殺人“逆恨み男”にメッタ刺しにされた伝説のキャバ譲が残したメッセージ

和久井学容疑者(C)共同通信社

<人生ってまじでここぞって時があるけど前もって教えてくれよ>

東京都新宿区のタワーマンションの敷地内で8日未明、住人の平沢俊乃さん(25)が刃物でメッタ刺しにされ、殺害された事件。本人のものとみられるSNSで平沢さんは生前、冒頭の一文を投稿していたが、「逆恨み男」に一瞬にして命を奪われてしまった。

殺人容疑で9日、送検された職業不詳の和久井学容疑者(51)は、事件前日7日の夜からマンション付近に止めた軽自動車で平沢さんを待ち伏せ、部屋着姿で1階のコンビニから出てきた彼女に声をかけた。突然、目の前に現れた和久井容疑者に平沢さんは驚き、とっさにその場から逃げようとした。和久井は平沢さんをつかまえ、「助けて」「助けて」と悲鳴を上げる彼女の体を用意していた刃渡り10センチの果物ナイフで複数回、ズブリと刺した。現場に駆け付けた警察官に取り押さえられた和久井容疑者は「オレはストーカーじゃない」と叫んだという。

■一方的に好意を募らせる

和久井容疑者は、襲った動機について「結婚を前提に金を貸したが、返ってこなかった。体を傷だらけにしてやろうと思った」と供述。「結婚資金」を工面するため、長年、大事にしていた愛車ホンダのスポーツカー「NSX」と希少なモンスターバイク「NR」を売り払い、「1800万円使った」と話している。2人が交際していた形跡はなく、和久井容疑者は一方的に好意を寄せていただけだった。2年前にも、平沢さんへのストーカー行為で逮捕されている。

25歳の若さで生涯を終えた平沢さんは18歳の時、東京・銀座でキャバクラデビュー。別のSNSでは自身の生き方を香港のファッションモデルと高級シャンパンにたとえ、<アンジェラベイビーでもあるまいし黙っててもアルマンドは降ってこない>と表現していた。

平沢さんは水商売の世界に入り、4カ月目にしてナンバーワンに上り詰めた。店を辞めるまでその座を譲らなかったという。2021年4月には東京・上野に自身がオーナーのガールズバーをオープン。和久井容疑者は「太客」として店に通い、平沢さんが店を閉めた後も、彼女につきまとっていた。

殺害される3週間前の4月17日、平沢さんは当時の心境をSNSにこうつづっている。

<みんなが挫けるとこで挫けないで みんなが立ち止まる時に走り続けて やっと目標が結果になって夢が実現して 尚且つ唯一無二の存在になると思ってる 今まで男も友達もお金も宝石も私を幸せにはしてくれなかった 私の幸せはきっと仕事の結果しかないんだと思う 私はどれだけ自分の人生を賭けれるかな?>

26歳も年上の身勝手な中年ストーカー男の手によって、志半ばでこの世を去るとは、平沢さんもさぞ悔しくてたまらなかっただろう。

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