国連総会、パレスチナの国連加盟を支持する決議案を採択 安保理に加盟の再検討求める

国連総会は10日に緊急特別会合を開き、パレスチナの国連加盟を支持する決議案の採決を行い、日本やフランスなど143カ国の賛成多数で採択した。イスラエルやアメリカなど9カ国が反対したほか、25カ国が棄権した。

この決議案は、国連安全保障理事会にパレスチナの加盟を再検討するよう求めるもの。

パレスチナは2012年から国連で、正式な加盟国でない「オブザーバー国家」としての資格を持っているが、採決には参加できない。

さらに、国連への正式加盟を決定する権限は、安全保障理事会にだけ与えられている。

安全保障理事会が先月に、パレスチナの国連への正式加盟の勧告を求める決議案について採決した際は、常任理事国のアメリカが拒否権を発動し、決議案は否決された。

しかし今回は、アメリカは拒否権ではなく反対票を投じた。これはパレスチナ人への支持を示すジェスチャーと捉えられる。

パレスチナ自治政府(PA)のマフムード・アッバス議長は採択を歓迎し、「パレスチナは国連への正式加盟に向けて努力を継続する」と声明で述べた。

一方、イスラエルのギラド・エルダン国連大使は、国連が「テロ国家」を歓迎したと非難した。

エルダン大使は国連総会での演説で、国連加盟国が決議案を採択して国連憲章を破壊しているとして、それを示すためにシュレッダーを取り出して国連憲章の書かれた紙を細断してみせた。

欧州諸国、パレスチナ国家承認を計画か

パレスチナをめぐっては、複数の欧州諸国がパレスチナ国家の承認を計画していると報じられている。

欧州連合(EU)のジョゼップ・ボレル外務・安全保障政策上級代表は9日、スペインは21日にもパレスチナ国家を承認すると、スペイン公共放送局RTVEに述べた。ボレル氏は以前、アイルランドやスロヴェニア、マルタもこうした措置を取る方針だとしていた。実施日は明らかにしていない。

パレスチナ人の代表機関、パレスチナ解放機構(PLO)は1988年、パレスチナ国家の樹立を初めて宣言した。

ロイター通信によると、国連加盟193カ国のうち139カ国がパレスチナを国家として認めているが、これはもっぱら象徴的なものとみなされている。

パレスチナ人は実際には、イスラエル占領下のパレスチナ自治区ヨルダン川西岸地区の一部で、パレスチナ自治政府を通じて限定的な自治を行っている。パレスチナ自治政府は2007年にガザ地区での支配権をイスラム組織ハマスに奪われた。国連は両地区を単一の政治組織からなる、イスラエルに占領された領土とみなしている。

イスラエルはパレスチナの国家としての地位を認めず、両地区でのパレスチナ国家の建国に反対している。このような国家は、イスラエルとしての存在を脅かすものだと、同国は主張している。

アメリカはイスラエルの隣にパレスチナ人国家が共存する「2国家解決」を支持しているが、両者の直接交渉を通じてのみ実現されるべきだとしている。

(英語記事 UN general assembly calls on Security Council to admit Palestine as member

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