共同親権法案は「骨抜き」「まやかし」北村弁護士がバッサリ 離婚時の「共同監護計画」提出の必要性力説

北村晴男弁護士が10日、自身のYouTubeチャンネルに動画を掲載し、現在、国会で審議中の「民法改正案(共同親権)」について解説した。北村氏は共同親権についての法案が衆議院の法務委員会で可決される前に参考人として意見陳述しており、話した内容を再現した。

北村氏は「この法案は海外に向けて『わが国も共同親権にしましたよ』というアピールができる意味があるのかもしれませんが、原則、共同親権とはほど遠い内容であり、その実態は『骨抜き共同親権法案』『まやかし共同親権法案』です」とバッサリ斬った。これまで採用されてきた「離婚後・単独親権」は子供が片方の親を失い、祖父母や親戚も失う形になると説明した。

母親が親権を持った場合を例に挙げ、離婚した父親(母親の元夫)を嫌いになった母親の感情を子供が感じ取り、父親を嫌悪するような「片親疎外症候群」になることがあるとした。「離婚後・単独親権」は子供、親や親戚にも悪影響がある「人間性に反するとんでもない悪法」と断じた。

欧米ではすでに共同親権が当たり前になっており、「元配偶者による虐待につながる」という意見は「『日本人だけが共同親権制度の下では元配偶者の暴力を防ぐ制度設計ができない無能な者である』と言っているに等しい」と説明した。

「離婚後・単独親権」で起きる「国際結婚での子の連れ去り問題」にも言及した。国内法では「子を連れ去った者が、連れ去られた者から暴力等を受けるおそれがある場合」には「返還拒否事由」となると説明。日本の裁判所がすぐに「おそれ」を認めるため、子供を返さないという状況になると解説した。

この「おそれ」→「返還拒否」の流れを認める条項が共同親権法案にも含まれているため「骨抜き」になっているとした。「『父母の一方が他の一方から暴力等を受けるおそれ』があれば単独親権とせよ」という規定があり、北村氏は「これは『単独親権誘導条項』というべきものです」と語った。一方の親を「『暴力から守る』という大義名分を『過度に』『不必要に』強調することで、共同親権制度を骨抜きにするものです」と重ねて説明した。

仲の悪い元夫婦では共同親権が機能しないという考え方についても制度設計で対応できるとした。「未成年の子供がいる夫婦における離婚の届け出に当たっては共同監護計画の提出を義務づける」という点を強調した。協議離婚が比較的簡単にできてしまうことを問題視。離婚の際には、離婚後の子供の養育に関する取り決めをしっかりとすることが必要だとした。

(よろず~ニュース編集部)

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