セブン-イレブン、消費期限近い食品を値引き セールでない値下げをコンビニが行う意義

大手コンビニエンスストアのセブン-イレブンは、消費期限が近付いた商品を値引き販売する「エコだ値」を全国で開始する。おにぎりやサンドイッチ、麺類など約300品が対象。実施店舗では2024年5月上旬から、「エコだ値」を行う旨を伝えるポスターを展開予定だ。

運営会社のセブン&アイ・ホールディングス(HD)広報は、「エコだ値」は食品ロスの解決に向けた取り組みだと取材に説明する。しかし、全国のスーパーでは以前から値引き販売が行われている。セブン-イレブンがこのタイミングで始める理由とは。

さらなるフードロス削減目的

セブン&アイHD広報は、23年5月以降にセブン-イレブンの直営店や一部の加盟店で値下げ販売のテストを行った結果、一定の効果を確認できたため、「エコだ値」を開始すると説明。実施や値下げ額は加盟店の判断で決まるが、加盟店と本部が一体となって進める予定だ。

広報は、これまでも食品ロス削減に向けた施策を講じてきたと話す。商品の消費期限を伸ばし、棚の手前に置かれた商品を購入するよう促してきた。「エコだ値」も、さらなる削減を狙った取り組みだ。

コンビニ研究家の田矢信二氏はJ-CASTニュースBizの取材に、長年スーパーとコンビニは値引きに関して比較されてきたと話す。スーパーは店舗面積が大きく、大量の品ぞろえで、値引き販売を念頭に置いた薄利多売な経営を行う。一方、コンビニは店舗面積が小さく、品ぞろえを厳選し、定価販売を中心とした厚利多売な経営でスーパーとは異なる。

スーパーの多くは直営店ビジネスで、コンビニはフランチャイズ・ビジネス。直営店の経営者は1人だが、フランチャイズには本部の経営者と加盟店の経営者がいる。「店舗数が増えるほど加盟店における経営者の統制が難しく、また本部も運営資金を維持するためにセール施策ではない値引き施策を積極的に推奨しにくい環境だったと言えます。今後は、緩やかに前進していくと私は思います」。

このタイミングで、セブン-イレブンが「エコだ値」を開始した理由を田矢氏は、社会情勢の変化、食品ロス対策、時給の高騰などさまざまな課題が重なった結果だと分析。さらに、アプリ会員(7NOW)に各店舗の品ぞろえを反映して商品が表示される「7NOW」が、来店しない顧客に販売チャンスが生まれ、従来の売れ残りを削減する可能性があると指摘した。

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