ジャスティン・トーマスが1Wを“やさしいヘッド”に替えた理由

ジャスティン・トーマスが新たに使用する1W「タイトリスト TSR2」(GolfWRX)

◇米国男子◇ウェルズファーゴ選手権 事前◇クエイルホロークラブ(ノースカロライナ州)◇7558yd(パー71)

今週「ウェルズファーゴ選手権」のクエイルホロークラブ、次週「全米プロゴルフ選手権」のバルハラGCは、両コースとも飛んで曲がらない1Wショットが攻略に不可欠となる。その準備の一環として、ジャスティン・トーマスが予想外のドライバー変更に打って出た。

2022年8月以降、トーマスはタイトリスト「TSR3」を使用してきた。これは同社の「TSR2」と比較すると、若干コンパクトなヘッド形状でスピン量もやや少ないモデルである。

PGAツアーでTSR3を使用した最初のシーズンにおいて、ストロークゲインド・オフ・ザ・ティ(パー4とパー5でのティショットのスコア貢献度)で62位とまずまずの成績を残したトーマスだが、今季は同スタッツで81位と数字を落としている。

このため、直近の出場だった「RBCヘリテージ」から2週間のオフを利用し、タイトリストのフィッティングエキスパートであるJ.J.ヴァンウェゼンベックの助けを借りて1Wのセットアップを見直すことにした。2人は電話でやり取りしながら最近の1Wのスタッツを考察し直し、試してみるべきヘッドとシャフトの組み合わせを話し合った。

数種類のオプションを受け取ったトーマスは、使い慣れた「三菱ケミカル ディアマナZF」(60TX)を装着したTSR2に著しいパフォーマンス向上の可能性を見出した。しばらく使用していたTSR3に比べ、TSR2は投影面積が大きく、スピン量と打ち出し特性がやや高くなる。

ヴァンウェゼンベックによると、トーマスのボール初速は時速2~3マイル(約1m/s)ほどアップし、打ち出し角は1.5度高くなり、ミスヒットが許容範囲内に収まるようになったとのこと。

シャフトはこれまでと同じ「三菱ケミカル ディアマナZF」(GolfWRX)

開幕前の火曜にはトーマス本人も「ドライバーの調子はまずまずだったけれど最高ではなかった。正直なところ、何かを試してみたいと思っていたんだ。このスタイルのヘッドは何年か前に使ったことがあった(2021年にTSi2を使用)。スピン量が増えるのは分かっていた。もちろん飛距離は出したい。ただ、ドライビングについては少しばかりスピン量が増えても、ミスヒットに対する安定感が増す方がいいと感じていたんだ」と述べた。

「これ(TSR2)は素晴らしいね。これを使った週のドライバーはかなり好調だったんだ。とにかく、よりソリッドに打てる。その理由が見た目にあるのか、それ以外のところにあるのかは分からないけれど、スピンに関する数字はより一貫している。ナックルカーブみたいな(スピン量が少ない)ショットは減っている。初速も速くなっている。これまで使っていたものとの違いは、わずかかもしれないけどね。少し大きめのヘッドがやさしく見えて、安心感をもたらしてくれるのかもしれない」

大がかりなチェンジに踏み切るようで、トーマスにとってはシャフトを替えないことが安心材料にもなっている。

「僕は(ヴァンウェゼンベックを)信じているし、タイトリストのスタッフも信じている。スイングで自分のやりたいことができている、あるいは、ドライバーにやってほしいことができていると感じているんだ。ヘッドだけ替えて、シャフトをそのまま使えるのがいい。送ってくれた別のシャフトでも素晴らしいものはあったけれど、一度に両方を替えるのは、ちょっとね…。少なくとも、今週かみ合わなかった場合は『OK、僕は同じシャフトを使っているのだから、恐らくヘッドに何か(原因)があるな』という感じになるから」

新たな1Wをバッグに入れ、シグニチャーイベントとメジャーが続く2週間で持ち前のドライバーショットを再燃させようとしている。

(協力/ GolfWRX, PGATOUR.com)

© 株式会社ゴルフダイジェスト・オンライン