“ひょっこり男”逮捕も懲役1年か?模倣者も出現?自転車の危険運転対策、元刑事が解説

 “ひょっこり男”逮捕も懲役1年か?※写真はイメージです(naka/stock.adobe.com)

 自転車を走らせながら対向車の通行を妨げたとして、千葉県警柏署は9日、道交法違反(あおり運転)の疑いで千葉県柏市の無職成島明彦容疑者(36)を逮捕した。元神奈川県警刑事で犯罪ジャーナリストの小川泰平氏は11日、デイリースポーツの取材に対し、今後も模倣者が出現する可能性を指摘し、自転車の“ひょっこり運転”に遭遇した時の対策を解説した。

 逮捕容疑は4月15日午後、柏市内の市道で千葉県内の50代女性が運転する乗用車に自転車で接近した疑い。成島容疑者は容疑を否認している。

 同容疑者は“ひょっこり男”と称され、2020年に埼玉県で自転車の「あおり運転」の疑いとしては全国で初めてとなるケースで逮捕された。さいたま地裁で懲役8月、罰金20万円の実刑判決を受けていた。

 今年1月から5月初旬にかけて柏市内の半径4キロほどの範囲で自転車の危険運転に関する通報が少なくとも10数件(県全体で40件以上)あった。自転車を蛇行させながら、突然、対向車線を走る車の前に飛び出すようにセンターラインをはみだす行為を繰り返す映像がSNSなどに投稿され、“ひょっこり運転”として問題視されていた。

 小川氏は「成島容疑者は以前、埼玉の桶川に住んでいて、出所してから千葉の柏に引っ越し、同市内で同じようなことをやっていた。今後は警察がどの程度の余罪を立件していくかということになる。そもそも、最初に実刑で8か月も刑務所に行けば、普通はやらないですよ。それにも関わらず、まだやっているというのは、ただ目立ちたい、相手を困らせるのが面白い…といった動機で稚拙です。36歳にもなって…」と見解を語った。

 さらに、同氏は「この容疑者は捕まったが、その模倣をする者が出てくる可能性もある」と危惧。成島容疑者の量刑については「余罪の数にもよりますが、懲役1年ぐらいではないか」と推測した。実刑を受けても遠くない先に再び出所してくることになる。

 “ひょっこり運転”の自転車に絡まれた時に、乗用車側の運転手はどの様な備えが必要か。

 小川氏は「ドライブレコーダーは自分を守るために必要です。スピードを出し過ぎず、信号をきちんと守っていて、横から飛び出してきた自転車に接触したとしても、ドライブレコーダーがあれば運転者が道交法を守っていたことの証拠になる。あおり運転をする者に対して、ドライブレコーダーは車の前後に、声も入るものをセットすること。それで自分を守ることになる」と説明した。

 さらに、同氏は「警察官の交通取り締まりで、一時停止で止まったか止まらないかなどでトラブルになった時、ドライブレコーダーを見れば止まっていないこともある。自分に有利にもなるだけでなく、自分の間違いにも気づかせてくれる。ドライブレコーダーは車とセットで購入すべきものだと考えていいと思います」と付け加えた。

 一方で、同氏は「ただ、ドライブレコーダーがあるからといって、ひょっこり運転の自転車をひいていいということではない。道路の中央まで急に出てきたり、蛇行している自転車を見たら、その場合は走行を止め、車両を路肩の安全な場所に一旦止め、その自転車をやり過ごす等対応策が必要です」と補足した。

 同氏は「ひょっこり運転の自転車は当たるつもりはなく、驚かせるためにやっているが、万が一、自転車の方がハンドル操作を誤って勝手にひっくり返ったところを車でひいてしまうこともあるので注意が必要。ひいてしまった時、『こちらは悪くないから』と立ち去ると、ひき逃げしたことと同じになるので、警察に通報して対応することです」と呼び掛けた。

 小川氏は「今後、自転車の交通違反は厳しくなり、まだ決まっていないが(刑事処分に代わって反則金の納付で処理する)『青キップ』を自転車にも導入するという話もある。いずれにしても、路肩ではなく、道路の中央部を走ってくる自転車には要注意。大きな事故につながる可能性がある」と警鐘を鳴らした。

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