道端に咲くオレンジの花の正体 茎には毒…「切ったら黄色い汁」 自治体が続々と「注意喚起」 強い繁殖力も特徴

ポピーのようなオレンジの花が道端に咲いているのを、見かけたことがある人はいるだろうか。この花は「ナガミヒナゲシ」と呼ばれるケシ科の外来種で、4月から6月ごろにかけて花を咲かせる。しかし茎には毒があり、触るとかぶれる恐れがあるため、注意喚起を行う自治体も増えている。

■生命力が強いナガミヒナゲシ 秘密は「抑制物質」と「種」

人通りのある道端や、植物の多い公園など様々な場所で咲く「ナガミヒナゲシ」。線路の高架横など、手が届かないような場所でも生息しているのが確認されている。街のあちらこちらに咲く理由について、専門家はナガミヒナゲシが持つ“特有の物質”が関係しているとしている。

大阪市立自然史博物館学芸員・長谷川匡弘さん:『アレロパシー』という、根からほかの植物が育つのを抑制するような物質を出していると考えられています。ほかの植物の生育を抑えて、自分がどんどん広がっていく。そんな戦略を取っている植物です。

さらに、生命力の強さには、もう1つ秘密があった。

大阪市立自然史博物館学芸員・長谷川匡弘さん:(実が)青い時は傘みたいなのをかぶっているんです。成熟すると傘が反ります。反ると下の方に窓みたいな(隙間が)あくんです。この中から種がパラパラとこぼれてくる。風で揺れると窓から種が飛んでいくんだろうと思います。それが人の足とかタイヤについてどんどん広がっていくのだろうと思います。

研究によると、ナガミヒナゲシの実1つにおよそ1600粒、一株で15万粒ほどの種子が作られ、ものすごく強い繁殖力を持っているということだ。

■咲いていても触らないで 毒性ある「黄色い液体」も

さらに、専門家によるとナガミヒナゲシには有毒物質があるという。

大阪市立自然史博物館学芸員・長谷川匡弘さん:黄色い汁が、茎を切ると出てくるんですけども、ちょっとピリピリするんです。肌が弱い人はかぶれたりする可能性はあると思います。ただ。毒はそんなに恐れるほど強いものではない。

長谷川学芸員は、駆除をする際は毒性物質に触れないようにするため軍手やゴム手袋を着用し、黄色の液体が肌に付着したらすぐに水で洗うようにしてほしいとしている。

■「ナガミヒナゲシ」に注意喚起 自治体が次々と公表

大阪府堺市では5月2日、ホームページで「ナガミヒナゲシ」に関する注意喚起を行った。道端に咲いていても、素手で茎を触ったり折ったりしないよう呼びかけたほか、自宅の庭などに生えている場合、ゴム手袋などをつけて注意して駆除をするよう求めている。

堺市には去年まで、ナガミヒナゲシに関する相談は寄せられていなかったが、ことしに入って数件あったということだ。内容は「空き地に咲いていて、近くで遊ぶ子どもが触ると危ないため処理できないか」などといった相談だった。しかし、ナガミヒナゲシは国の駆除対象となる「特定外来生物」には指定されていない。そのため堺市は注意喚起として、市民に初めて呼びかけることにしたという。

このような注意喚起は、大阪府貝塚市や八尾市、京都府大山崎町などでも4月から5月にかけて出されている。

一見、可愛らしいナガミヒナゲシ。しかし繁殖力が強く、触ると害のある花なので、道端で見かけても触らないよう気をつけてほしい。

関西テレビ報道センター記者 鈴村菜央

(一部内容は2023年5月15日の「newsランナー」で放送した取材が含まれます)

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