ヨコハマタイヤ 見た目のカッコ良さを持つジオランダーA/T4 G018 はフロードも得意な、まさに万能オールテレインタイヤ【試乗記】

横浜ゴムのSUV、ピックアップトラック用タイヤ「ジオランダーA/T4 G018」をテスト試乗してきたのでお伝えしよう。

会場はかつて浅間火山レースが開催されたオフロードコース

国内の自動車市場では、2024年三菱のピックアップトラック「トライトン」が国内デビューしたように、SUVにとどまらずピックアップトラックの需要も右肩上がりの状況。そうしたピックアップトラック、SUVユーザー向けに、新しいジオランダーA/T4を投入しようということで、搭載技術の説明、そして試乗テストをする機会があった。

試乗車には14年ぶりに国内販売された三菱の新型トライトンも用意されていた

一方、アジアや北米をみればA/T(オールテレイン))タイヤの需要は高く、横浜ゴムのタイヤでは、もっとも販売の多いカテゴリーという。てっきりアドバンシリーズだと思っていたが、じつはジオランダーが中核商品ということになる。

ジオランダーA/Tは1996年位にでデビューし、2006年に第2世代「ジオランダーA/T-S」がセカンドのSをつけてデビュー。2016年に第3世代「ジオランダーA/T G015」となり、今回、2024年に第4世代となる「ジオランダーA/T4 G018」がデビューした。

ジオランダーはヨコハマタイヤの中核商品でA/T4 G018がデビューした

オンもオフも

まずは試乗してのインプレッションからお伝えしよう。試乗コースはオフロードの高速と中低速、そしてオンロードの一般道で試乗した。

オフロードは前日の雨の影響が残り、所々で泥濘状態と水たまりがあり、全般に緩めのコンディションだった。そうした路面でも低中速でのグリップ力は前後、左右でしっかりとしており、泥濘地でも全く問題ない。タイヤの回転に伴って、大きな泥ブロックが掻き出されていく。

ハイラックスでハイスピードコースを試乗

ハイスピードのオフロードも同様で、グリップ感はずっと伝わってくるし、ハードなグレーキングにもすべらず路面を掴む。かなり大きなノーズダイブをするほど、強いグリップ力を感じるのだ。だから舗装路と変わらないほどの印象で、滑る感覚は全くなかった。無理やり滑らせるような荷重移動からステアしても、コントールを失うようなこともなく、滑りながらのグリップ感もあるので安心できる。

試乗車はトライトン、ハイラックスそして、RAV4で、乗用的要素をもつRAV4でも、かなりハードな走りができたのが印象に残った。

RAV4でもアグレッシブな走りが楽しめる

驚いたのは舗装路だ。ジオランダーA/T4は、見た目がかなりハードでアグレッシブなトレッドデザインをしているので、ロードノイズは厳しいだろうな、というのが試乗前の印象。それが見事に裏切られ、日常使いでもストレスとはならないレベルの走行音だった。

アグレッシブなトレッドデザインだけに・・・

試乗ルートの路面状態は悪く、かなりテスト・コンディションとしてはタイヤに厳しい。それでも乗り心地や音といった部分に不満はない。試乗車両はRAV4、ラングラー・ルビコンの2台でRAV4はともかく、ラングラーはロードノイズを覚悟したものだ。決して鷹揚な性格ではないが、この程度の音と乗り心地なら「許す」という気になった。

ラングラーより遥かに乗用要素を持つRAV4は、標準タイヤよりは音が出ていると思われるものの「おそらく」という曖昧な印象で、確実に音が大きいとは断言できないレベルの静粛性を持っていると考えていい。

キャラクターの変化

さて、こうした乗り心地や静粛性の高さ、オフロードでのグリップ力など相反性能をどのように解決したのか。また商品特徴や位置付けについても触れておこう。

まず時代の変化とともにA/Tタイヤの細分化が進み、オンロードタイプのA/TとオフロードタイプのA/Tとなり、ジオランダーG015の先代はオンロードの性格を持ったA/Tだった。そして今回のジオランダーA/T4はオフロードの位置付けだ。しかし、G015と同等のオンロード性能も持ち合わせていることを最大の特徴としているのだ。つなり、G015の性能を保ちながら、オフロードの性能だけを向上させたタイヤということになる。

国内のニーズで言えばウエット性能、乗り心地、ドライ性能、ハンドリングという一般的な性能を求める傾向があるという。A/Tだからといって特別な性能を求めることはないそうだ。使用目的もレジャー、買い物、通勤というユーザーが圧倒的で、悪路走破性よりは見た目の嗜好性で選ぶ傾向があるという。

そのため、A/T4 G018はアグレッシブな見た目、オールシーズンタイヤで3PMSF、つまりスノータイヤ規制をクリアすること、さらに耐摩耗性、耐久性を配慮したモデルになる。したがってオンロードはG015の性能を維持しつつ、オフロード性能と耐カット&チッピング性能を強化したモデルということになる。

次に搭載技術をのぞいてみよう。まずはトレッドパターンだ。新開発したトレッドには6つのポイントがある。

2イン1センターブロック

2in1センターブロック
剛性を上げるために、補助溝や装飾溝を入れない。周方向で見て、真ん中のデザインは、大型のブロックを反転させた二つのブロックを配置して、それを挟むようにストレートの溝とジグザグの4本溝を配置。両隣のブロックは、さらに異なる2種類のブロックと、異なる2種類のジグザグ溝を配置。

合計4種類のブロックとラグ溝による複雑な構成としている。これは周方向に対して高剛性な溝になり、そしてさまざまな路面でエッジが作用し、トラクションをはじめとするオフロード性能が向上するのだ。

ジグザグの4本主溝
真ん中2列の溝は直線部を持つ溝、外側の2つの溝はジグザク溝にし、内側と外側では異なる溝としている。これによりトラクション性能、排水性向上を向上させ、ウエット性能も向上している。また、パターン内部で発生する、共鳴音が抑制され、パターンノイズ低減になるという。

シングルピッチショルダーブロック
同一ブロック形状を新規にピッチ配列することで、パターンノイズの低減、乗り心地の向上につなげている

ディープ&ワイドショルダー溝
ショルダー部の溝はディープでワイドな設計とした。タイヤ幅方向外側へ向けて開口エリアが増やし、これによって、排水、排雪、排土性能を向上させている。

ウェーブ3Dサイプ

3Dディープサイプ
サイプは既存のG015で採用していた3Dタイプのディープサイプを採用している。これによりエッジ効果の向上とブロック倒れ込み湯抑制による、しっかり感が得られている。またエッジ効果が高いので、スノートラクション性能やウエット性能が向上した。

切り欠き溝
各ブロックに2つないし、3つの切り欠き溝が配置されており、形状は三角形、四角形、五角形に近いもので、深さも様々にして、中には面取りを入れるなど細かい設計をしている。これは最終段階まで形状の検討した、こだわりのポイントでもある。

こうして各ブロックに最適な形状、配置とすることで、オフロード、スノー、ウエットの性能向上を果たしているのだ。

デュアルサイドウォール
さて、ジオランダーA/T4 G018の最大とも言えるサイドウォールデザインについて説明すると、製造番号が表記されるセリアルサイドは周方向に伸びる水平線で構成した2in1デザインで、反セリアルサイドは、ショルダーからサイドブロックにかけて一体となる2in1デザインになっている。

2in1デザインとしたことで、G015よりワンピッチの小さいデザインから2倍の大きさになっているので、より強度が高まり、対カット性、耐久性が向上に繋がっている。そして凹凸のあるデザインとしているので、オフロード走行時には積極的に使っていくことも可能だ。さらに、セリアルサイドのどちらを表に使っても性能に差はない特徴もある。

プロファイル+構造+コンパウンド
プロファイルはショルダーの形状を変更。角張り具合をよりスクエアな方向にデザイン変更した。それは接地特性に感度のある部位で、スクエアにすることで、四隅が広がり接地面積が拡大する。特に耐摩耗性、トラクションの向上につながっている。

構造ではナイロンフルカバーと2プライポリエステルの補強構造で、全サイズにリムプロテクターを設定して、耐高荷重性、耐サイドカット性を向上に繋げている。

そしてトレッドコンパウンドは、実績のあるA/T系コンパウンドを採用している。

テストはオン、オフロードの両方で行ないモータージャーナリストの高橋アキラが試乗

これらさまざまな設計技術を投入したことで、G015と比較してオフロード、耐カット、チッピング、スノーが大きく性能向上し、僅かにドライ、ウエットも向上。また摩耗、車外騒音は良好であり、車内騒音もG015と同等という性能になっているのだ。

そしてホワイトレターも一部に用意されており、本来のすべての路面に対応するオールテレインタイヤの要件を満たしながら、更なる性能向上と見た目デザインのアグレッシブさを加えたのがジオランダーA/T4 G018ということになる。

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