習主席、国際秩序多極化に自信 台湾統一へ支持取り付け

フランス・ピレネー山脈の景勝地で市民に手を振る中国の習近平国家主席(右端)。左端はマクロン大統領=7日(新華社=共同)

 【北京共同】中国の習近平国家主席は11日、5年ぶりの欧州歴訪を終え帰国した。フランスと国際問題で協調すると合意。親中のセルビア、ハンガリーから台湾問題で支持を取り付け、統一に向け環境整備を図った。習氏は米主導の国際秩序に対抗し、世界を多極化することに自信を見せる。

 「欧州はパートナーだ。中国は戦略的に重視している」。習氏は歴訪先で繰り返した。ウクライナに侵攻したロシアへの支援や通商摩擦で批判が高まる中、対中強硬論の沈静化を図った。

 3カ国は習氏を手厚くもてなした。フランスのマクロン大統領はピレネー山脈の景勝地で昼食を共にして厚遇。ハンガリーは15年前に国家副主席として訪れた習氏に花束を渡したという少女が空港で出迎えサプライズを演出した。セルビアは2万人とされる市民を広場に集めた歓迎式典を開催した。

 習氏は欧州の友好国と関係を強化し、米国が構築する対中包囲網を切り崩す狙い。「欧州は平等で秩序ある世界の多極化の一極」とも強調。グローバルサウスと呼ばれる新興・途上国も束ね、新たな秩序構築を目指す。

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