岸辺露伴シリーズは新作エピソードが放送! 本家と同等の認知度を誇るスピンオフ作品

『名探偵コナン 犯人の犯沢さん』第1巻/小学館

荒木飛呂彦氏による『ジョジョの奇妙な冒険』のスピンオフ作品となるドラマ『岸辺露伴は動かない』シリーズの最新作「密漁海岸」が昨日5月10日に放送された。

岸辺露伴は『ジョジョ』の第4部に登場したスタンド使いの漫画家で、アニメや実写化によって本作と肩を並べるくらいの認知度になっている。その魅力は、『世にも奇妙な物語』を思わせる独特の雰囲気にもあるのかもしれない。

そんな露伴シリーズのように、本作と同じくらい有名になってしまう作品が他にもいくつかある。キャラのイメージをそのままに別の世界で活躍する姿が、ファンだけでなく本家を知らない人の心にも刺さってしまうのだ。

そこで今回は、本家と同等以上の認知度を誇るスピンオフ作品を紹介していきたい。

■『明智警部の事件簿』

原作:天樹征丸氏、作画:さとうふみや氏による『金田一少年の事件簿』といえば、アニメ、ドラマと知らない人がいないほどの推理漫画だ。そのスピンオフ作品が『明智警部の事件簿』である。主人公の明智健悟は本編では金田一を助ける警視として登場して、警察の中でも高い頭脳を持ち、推理力も金田一に引けを取らない。しかもイケメンでスポーツ万能となれば、サブキャラにしておくには惜しい存在だ。

そんな背景もあって、明智が主人公となって事件を解決していくスピンオフが誕生したといえる。明智の学生時代や金田一と出会う前の事件も描いているのが面白い。

事件だけではなく、普段は見られないプライベートの顔も描かれており、ますます明智に好感を持った人も多いだろう。鼻につくことをサラッと口にするのは本作と変わらないが……。

この作品は、金田一もすごいが、実は明智だってすごいんだぞ!ということが詰まった作品であり、その後のふたりの活躍も楽しんで見られる。ちなみに『金田一少年の事件簿外伝 犯人たちの事件簿』というスピンオフ作品もあり、これは事件を起こした犯人目線で進むギャグ漫画。未見の人にはこちらもおすすめしたい。

■『犯人の犯沢さん』

先ほど紹介した『金田一少年の事件簿』と並ぶミステリー漫画といえば、青山剛昌氏による『名探偵コナン』だろう。この作品にもスピンオフがあり、それがかんばまゆこ氏による『名探偵コナン 犯人の犯沢さん』である。

これは犯人目線でのストーリーとなっているが、先ほど紹介した『金田一少年の事件簿外伝 犯人たちの事件簿』とは違い、事件の裏側を明かしてくれるわけではない。米花町で暮らす犯人の犯沢さん(仮名)の苦労話を面白おかしく見せてくれるのだ。

本作には“誇張されすぎたコナンや毛利蘭”が登場するのだが、犯沢さんから見た彼らはまるで化け物のようになっているのも特徴だ。蘭に至っては素手で銃弾を受け止めたり、刃物を片手で折り曲げたりと、もはやラスボス級の描写である。このふたり以外にも本作のキャラがたくさん出てきているので、どんな描かれ方をしているのかぜひチェックしてみてほしい。

■『中間管理録トネガワ』

福本伸行氏による『カイジ』のスピンオフである原作:萩原天晴氏、作画:橋本智広氏、三好智樹氏による『中間管理録トネガワ』もかなり注目を集めている作品だ。利根川幸雄は本編では会長の右腕として活躍し、カイジたちを苦しめる悪役だ。そのため、憎らしい敵のひとりでしかない。

それがスピンオフ作品になると、中間管理職としての気苦労が描かれているのだ。会長から無茶な命令をされたり、部下に嫌われないようにしたり、ライバルに嫉妬したりと、ごく普通の会社員と変わらない姿になっている。

そのため、カイジたちには偉そうにしていたけれど実は大変な思いをしていたんだな、と同情すらしてしまう。何もしないで金だけを欲しがっている者たちにムカつくのも当然なのかもしれない……。

この作品は「このマンガがすごい!2017」のオトコ編1位を受賞していて、アニメ化もされている。『カイジ』のスピンオフにはほかに『1日外出録ハンチョウ』や『上京生活録イチジョウ』もあるので、そちらも読んでみてはいかがだろうか。

■『闘将!!拉麺男』

最後に紹介するのは、ゆでたまごによる『キン肉マン』のスピンオフとなる『闘将!!拉麺男』だ。これは、『キン肉マン』に登場する仲間の超人のひとり・ラーメンマンが主人公となった作品である。

ラーメンマンが本作で活躍する姿がカッコいいと評判になり、人気投票で主人公のキン肉マンをしのぐ勢いとなったことでスピンオフが誕生した。作中ではラーメンマンの生い立ちや、他流派の拳法家との戦いで成長していく姿が描かれる。

この作品の魅力は、本作では見せないラーメンマンの必殺技や強敵との戦いだ。ひとつの作品として見ごたえがあるので、スピンオフとは思えないほど……。

本編でのラーメンマンは一度戦線離脱をするも、その後モンゴルマンとして登場して活躍している。そこからもラーメンマンというキャラがいかに愛されているのかがわかるだろう。

スピンオフ作品は、主人公以外に魅力的なキャラがいるからこそ生まれるものである。本編をより楽しめる内容が盛り込まれていることも多いので、ぜひともあわせてチェックしてみてほしい。

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