脱炭素社会実現へ向け成果着々 アマモ分布南限の指宿・山川で進む藻場再生

水中や船の上からアマモを観察する参加者=7日、指宿市山川

 指宿市山川の児ケ水漁港周辺で、アマモ場(藻場)の再生に向けた取り組みが成果を挙げつつある。山川町漁業協同組合などが昨秋から造成を始め、種を付けるまでに成長。アマモ場は、魚の産卵場所や稚魚の生息域となるほか、二酸化炭素(CO2)を吸収し蓄える力があり、脱炭素社会実現に向けても注目されている。

 アマモはイネ科の海草で山川地区付近の海域が国内の分布南限。近年は魚による食害などにより減少していた。同漁協や県、山口水産(鹿児島市)、城山観光(同)などの官民は「山川地区ブルーカーボンプロジェクト協議会」(通称・山川の海のゆりかごを守る会)を昨年9月設立、アマモ場再生を本格化させた。

 漁港近くの約5000平方メートルを仕切り網で囲い、その一部に種をまいたマット20枚を昨秋設置。7日にあった観察会では、水面付近まで伸びた株も多く見られた。参加した山口水産の山口大悟社長は「こんなに成長したのは初めて見た。エリアがさらに拡大すれば楽しみ」と話した。

 同会は今年、追加造成を予定するほか、今夏には県内初の「ブルーカーボン」クレジット発行を目指し、認証機関へ申請する方針だ。同漁協の川畑友和理事は「南限アマモ場の再生は全国的にも注目度が高い。各地に波及する取り組みになるのではないか」と期待する。

2メートル近くに成長し、水面付近で揺れるアマモ=7日、指宿市山川

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