今田美桜と森本慎太郎「日テレ土曜ドラマ」連続絶不調の裏に『with MUSIC』の大コケ 想定外スベリ2つの理由

今田美桜、森本慎太郎(SixTONES)、有働由美子 (C)ピンズバNEWS

日本テレビの土曜日に大きな暗雲が漂っている――。

日テレは4月に大幅な番組改編を行ない、土曜日の放送枠が大きく様変わりした。「土ドラ10」(旧『土曜ドラマ』)に加えて「土ドラ9」枠を新設し、現在は「土ドラ9」で今田美桜(27)主演の『花咲舞が黙ってない』、「土ドラ10」でSixTONES・森本慎太郎(26)主演の『街並み照らすヤツら』が放送中だ。

『花咲舞~』は堺雅人(50)主演の『半沢直樹』(TBS系)シリーズの作者・池井戸潤氏の小説が原作のドラマ。タイトル通り、曲がったことが大嫌いな銀行員の“花咲舞が黙ってない”作品で、2014年4月期と15年7月期には杏(38)主演で実写化された。

森本が主演する『街並み照らすヤツら』は、シャッター商店街で潰れかけのケーキ屋を営む、竹野正義(森本)が主人公。正義が幼馴染の荒木太一(浜野謙太/42)にお願いして、保険金目当てに自作自演の偽装強盗を仕組んで――という導入から始まるヒューマンエンターテインメントドラマである。

今田と森本が主演する、土曜の夜に日テレで放送されている2本のドラマだが――、

「まだ始まったばかりですが、数字はかなり厳しいことになっています。現在、テレビ各局が最重要視している13~49歳のコア視聴率が全く振るっていないんです。『花咲舞』は第1話(4月13日)が2.0%でしたが、第3話(27日)ではさらに落ちて1.7%。同じ27日に放送された『街並み』の第1話も、1.8%でした。平日に比べると多くの人が家にいる土曜日で、両ドラマともコア1%台。“爆死”と表現されてもおかしくない、寂しい数字ですね……」(制作会社関係者)

2時間連続で絶不調となっている2作は、どのような内容なのか。前出の制作会社関係者は話す。

「『花咲舞』はどうしても“花咲舞=杏”のイメージが強すぎて苦戦している感じですね……。やはり、杏さんは偉大だったんですね。

一方で、『花咲舞』は『半沢直樹』と同一の世界観のため、第5話(5月11日放送)では若き日の半沢直樹が登場します。半沢役の俳優は堺さんではなく、シークレットで後ろ姿のみ予告で出ています。物語も第2章に突入するし、間違いなく注目度が上がっている。ここが勝負どころとなりそうですね」(前同)

『街並み照らすヤツら』は――。

「ナレーション(田中秀幸)が『ちびまる子ちゃん』(フジテレビ系)みたいなノリで辛らつなツッコミを入れる演出があるなど、コメディよりの作風です。ただ、大筋はそこまで明るい話ではないし、第1話冒頭で描かれた2か月後の未来では、主人公が何か取り返しのつかない事件を起こしてしまったことを示唆する演出もある。全体的に不穏なシナリオでもあります。

第1話のグダグダな偽装強盗を筆頭にシュールすぎるシーンが多いことなど、好みが分かれる作風も数字に影響しているでしょう」(前同)

そんな評価がある一方、芸能プロ関係者は「2つのドラマが絶不調の理由は、他のところにもあるんですよね」というのだ。

■4月スタートの勝負音楽番組『with MUSIC』が大コケ

前出の芸能プロ関係者は続ける。

「日テレの土曜ドラマの視聴率がマズいことになっている理由――そのひとつとして、ドラマ枠(夜9時~)の直前に放送されている有働由美子さん(55)がMC、松下洸平さん(37)がアーティストナビゲーターを務める音楽番組『with MUSIC』(夜8時~)の大コケがあるんです。同番組の時点で大きく数字が落ちてしまっていて、その後の『花咲舞』と『街並み照らすヤツら』も数字が上がらない、と言われていますね」

『with MUSIC』は、19年半続いた『世界一受けたい授業』の後番組として4月13日にレギュラー放送がスタートした番組。日テレは4月改編の目玉として、34年ぶりとなるゴールデン帯の音楽番組に大いに期待していたが、

「『with MUSIC』はかなり厳しいことになっています。日テレはこの4月から、各番組の評価は“コア視聴率のみ”となったのですが、そのコアの数字が取れていないんです。

『花咲舞』の初回放送日でもある4月13日の『with MUSIC』のコア視聴率は2.1%で、同時間帯の主要民放キー局で最下位。『街並み照らすヤツら』の初回放送日27日も2.3%でした。20日放送の2時間SPだけは2.9%とまずまずの数字を出していましたが、これは“Aぇ!groupが5月15日のCDデビュー発表後、初のテレビ歌唱”という話題性が理由でしょう」(前同)

日テレにチャンネルを合わせていた視聴者が『with MUSIC』で離れてしまい、結果としてその後の連ドラも見ない――そんな事態に陥っているというのだ。

「直前に放送している嵐・相葉雅紀さん(41)の『嗚呼!!みんなの動物園』(夜7時~)が終わり、『with MUSIC』になるタイミングで多くの視聴者が離れていることがデータから分かります。

『嗚呼!!みんなの動物園』のコア視聴率は、13日が3.3%で、27日が3.7%。『with MUSIC』は13日が2.1%、27日が2.3%なので、まさに急落していますよね。日テレとしては堅調な『動物園』、そして改編の目玉として期待していた『with MUSIC』で視聴者を確保してその後のドラマ枠につなげたいという狙いだったでしょう。それだけに、『with MUSIC』の大コケは間違いなく想定外でしょう」(同)

なぜ、日テレの4月改編の目玉番組である『with MUSIC』は大スベリしてしまったのか――理由は2つ考えられるという。前出の芸能プロ関係者はこう話す。

「1つは、どの視聴層を狙っているのか分からない、と言われていることでしょうね。

最近の音楽番組は “推し”のパフォーマンスをリアルタイムで視聴する若い世代に支えられている。そのため、『CDTV ライブ!ライブ!』(TBS系)や『ミュージックステーション』(テレビ朝日系)は、若い新進気鋭のアーティストを積極的にキャスティングし、若者世代向けに振り切った番組作りをしています。

しかし、『with MUSIC』は若者世代にフォーカスしておらず、かと言ってシニア層や40代など、明確に狙っている視聴ターゲットがいるわけでもない。出演アーティストは良く言えば全世代、悪く言えば絞られていない感じなんですよね」(前同)

■有働・松下ペアにも課題が

『with MUSIC』は5月11日放送の2時間SPも、&TEAMやBE:FIRST、マカロニえんぴつといった若い世代に人気のアーティストと、20th Century、高橋洋子(57)などファンの年齢層が高めのアーティストが両方出ている。さらに言えば、「夏うた特集」や「アイドルソング特集」のような統一感もない。

5月9日発売の『女性セブン』(小学館)では有働が、個人的に大ファンでもある中森明菜(58)を『with MUSIC』に呼びたがっている、とも報じられていたが――、

「明菜さんが出てくれて数字が上がってもその回限りでしょう。根本的な改善にはならない。もっとも、彼女の個人事務所は《今のところ、テレビ出演は全く予定しておりません》と、スポーツ紙にコメントを出していましたが」(前出の芸能プロ関係者)

前出の芸能プロ関係者は続ける。

「『with MUSIC』が大惨敗状態にある2つ目の理由は、番組の顔になっている有働・松下ペアにあると言われていますね。

もちろん2人とも好感度が非常に高いタレントですし、MCもトークも際立って悪いところがあるわけではありません。ただ、落ち着いた雰囲気のある2人をメインにしたことで、ワチャワチャ感とか、アーティストとの思わぬハプニングとか、そういった想定外の化学反応が起こりにくい、楽しいことが起こる感じがしない、ともっぱらです」

有働は、NHKアナウンサー(18年4月退職)としては『あさイチ』のトークなど明るく楽しい姿が印象的だった。しかし、退職の理由を「海外での現場取材」などジャーナリスト活動に関心があるからと発表したり、先日まで硬派な報道番組『news zero』(日本テレビ系/18年10月~24年3月末)を担当したりと、コア視聴率を狙う音楽番組のMCとは明らかに方向性が違う。

『with MUSIC』の初回放送時に有働が宇多田ヒカル(41)を相手に独占インタビューをする企画を放送した際も、Xでは《淡々としている》《あまり深掘りできていない》などの声も多かった。

「松下さんも、明るい元気さが売りではなく、大人の男性の落ち着いた感じが魅力のタレントですよね。結果として『with MUSIC』は、60年間続くフジテレビの長寿音楽番組『ミュージックフェア』(毎週土曜日18時~)みたい、という感想が出るような、悪い意味で落ち着いていて、爆発的な盛り上がりが期待できない感じになってしまっていると。

視聴者ターゲットを絞れていない、メインの2人が大人すぎる――そうした要因から、『with MUSIC』は想定外の大苦戦となった。そして、それが後番組の『土ドラ9』と『土ドラ10』にも響いてしまっているということですよね。

とはいえ番組は始まったばかり。MCの有働さんは『with MUSIC』に向けて髪を真っ赤に染めるなど気合いは十分。日テレも当然、課題は把握しているでしょうから、今後、勝負の音楽番組『with MUSIC』がどう変わっていくのか注目ですね」(前同)

『with MUSIC』がコケ続ければ、後に続く2つのドラマも厳しい。有働と松下の奮起も期待されるところだろう。

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