元気な高齢者、股関節に秘訣? 93歳の陸上世界記録保持者・田中博男さんの走り方測定 青森県立保健大

田中さんの走り方を撮影、分析した測定会
田中さんの走り方を分析する篠原教授

 高齢者の模範となる動作モデル構築に向け、青森市の県立保健大学は11日、世界マスターズ室内陸上世界記録を持つ田中博男さん(93)=同市=のランニングフォームの測定会を同大で行った。研究する理学療法学科の篠原博教授は、田中さんの股関節の動きが優れていることに注目。「股関節の使い方に高齢者が安全かつ活発に動くためのヒントがあるのでは」と見ている。

 高齢化が進む中、加齢で身体能力が衰えても高齢者が元気に暮らせる秘訣(ひけつ)を探ろうと研究を始め、田中さんの測定は4月に続き2回目。同大が2月に導入した最新の3次元動作解析システムを用い、屋内のランニングマシンと屋外のグラウンドで測定。田中さんが歩いたり走ったりする様子を8台のカメラで撮影し、関節の動きや各動作で生じる力などを分析した。

 篠原教授によると、田中さんは前かがみの姿勢になりやすい同世代と比べ、股関節をうまく使えているのが特徴。若い世代の走り方と比較しても、股関節は同程度の動きが見られるという。

 篠原教授は「丸まった姿勢だと股関節が曲がりやすいので、普段から姿勢を正す心がけの必要性を改めて実感した。日ごろから股関節を後ろに伸ばすような動きができればいいのではないか」と指摘。今後も定期的に測定を行う予定で、「田中さんからいろいろなヒントを受け取り、良い体の使い方を国内外に発信したい」と話した。

 田中さんは「科学的な見地から高齢者の生活やスポーツにアドバイスができればうれしい。自分の走りを維持するために、今後の作戦と行動を立ち止まって考えるいい機会になった」と語った。

© 株式会社東奥日報社